激しい貿易摩擦の落とす影が濃くなっている。

 中国の今年4~6月期の国内総生産(GDP、速報値)は、物価変動を除く実質で前年同期比6・2%増にとどまった。

 1~3月期に比べ0・2ポイント低下し、四半期ベースでは、統計をさかのぼれる1992年以降で最低の成長率となった。

 米国との貿易摩擦が激化した時期と重なる。双方の関税引き上げの応酬が国内経済を直撃した形で、世界同時不況となったリーマン・ショック直後の2009年1~3月期も下回る厳しさだ。

 中国と結びつきが深い製造業を中心に日本経済にも悪影響が表れている。米中は6月の首脳会談でも解決策を見いだせず、両経済大国の威信もかけた争いが世界経済の大きな不安材料として顕在化しているといえよう。

 中国経済の減速が米中摩擦によるのは明らかだ。双方が幅広い物品に追加関税を課した結果、中国の1~5月統計で対米国の輸入は約30%、輸出は駆け込み分を含めても8%余り減少した。

 輸出品の生産や設備投資が減速し、国内消費も新車販売が6月まで12カ月連続で前年同月割れするなど落ち込んでいる。

 中国政府は、景気下支えのためインフラ投資など積極的な財政政策をとってきた。1~3月期の成長率は横ばいで減退に歯止めがかかったかにみえたが、追加関税の品目拡大で底割れした形だ。

 前年から引き下げた19年の成長率目標6・0~6・5%の枠内とはいえ、当局は「国内にはなお押し下げ圧力がある」と認める。

 米中首脳会談で貿易協議が継続され、制裁関税「第4弾」は当面見送られたものの、知的所有権など構造的問題を巡る最終合意の道筋が見通せないからだ。

 これまでの3段階の制裁関税は続き、中国から生産拠点を移す動きが相次いでいる。アジアの部品調達・供給網の中心としての足元が揺らぎかねない事態だ。

 景気対策の実効性向上に加え、早期決着を求める内外企業に中国指導部がどう応えるか注目されよう。

 日本経済も最大貿易相手の中国向け輸出が5月に約10%減少し、製造業を中心に先行き懸念が広がっている。

 米国経済は堅調だが、貿易摩擦の影響回避へ今月末にも利下げする可能性が高まっている。日本は円高進行による輸出減や10月の消費増税の影響も懸念され、内外の不安への対処が求められよう。