今年1月1日時点で国内の日本人は約1億2477万人いた。前年より約43万人も少なかった。10年連続のマイナスで、しかも減少数は過去最多となった。

 総務省の人口動態調査による。注目したいのは、都道府県別で東京圏(埼玉、千葉、東京、神奈川)と沖縄は増えていて、それ以外の府県が減ったことである。

 東京一極集中が、さらに進んでしまったといえる。政府が取り組んできた「地方創生」の効果が問われている。

 今から5年前、有識者らの日本創成会議が、人口減に伴う「消滅可能性都市」について予測した。重く受け止めた政府は、「まち・ひと・しごと創生基本方針」を定め、地方創生に着手した。

 出産や子育てのしやすい地域社会をつくり、雇用機会を増やして人口減に歯止めを掛けようという戦略だ。

 具体的には、新型交付金制度を導入して、若者の雇用、高齢者の移住、観光振興組織の設置を促した。企業の本社機能や省庁の地方移転も唱え、東京23区内にある大学の定員を抑制することまで打ち出した。

 けれども、そうした政策の効果が全国に及んでいるとは、とてもいえない状況だ。

 共同通信が行った自治体アンケートによると、東京23区からの企業誘致について、市町村の8割近くは、移転が実現するなどの成果はない、としている。

 何らかの成果があったとするのは、文化庁の移転した京都など政令市や、大津を含む中核市といった都市部である。

 本社機能の移転先は、首都圏か、新幹線や高速道路で東京とつながるところが多い。

 東京圏への転入超過を解消することなど、政府の目標は達成が困難な見通しである。東京一極集中を固定化し、小集落を切り捨てて新たな地方拠点をつくっただけ、といわれても仕方ない。

 現行の地方創生策の適用期間が切れる本年度末をにらみ、政府は新たな戦略に、都市部に住みながら地域のイベントなどに参加する「関係人口」を拡大する、と明記する方針だ。これにより、将来的には地方への移住につなげるというのだが、出生数の増加の方は、あきらめたのだろうか。

 地方創生に関して、今参院選で激しい論戦があったとは、残念ながら聞かない。統一地方選だけの争点では、ないはずである。