高い目標を定め、ベンチプレスのトレーニングに励む西村さん(大津市御陵町・県立スポーツ会館)

高い目標を定め、ベンチプレスのトレーニングに励む西村さん(大津市御陵町・県立スポーツ会館)

 大津市皇子が丘2丁目の主婦西村政子さん(44)が、5月に千葉県であった世界ベンチプレス選手権マスターズⅠ(40~49歳)の47キロ級で初優勝した。障害がある2児の母で、北大津養護学校(同市伊香立)のPTA会長を長年務める。「PTAや福祉の活動があってこそ今がある。今後も記録を伸ばしたい」と挑戦を続けている。

 西村さんは約10年前、子どもの入院に付き添い食生活が乱れ、体重が20キロほど増えた。ダイエットのため、子どもが学校の午前中に近所の県立スポーツ会館(同市御陵町)に通い始めた。当初は筋トレやウオーキングをしていたが、「全身トレーニングになる」と2014年にベンチプレスを始めた。

 大会に初出場したのは15年夏。以来、バーベルを肩に担いでの「スクワット」と、床に置いたバーベルを太ももあたりまで引き上げる「デッドリフト」もトレーニングに加え、17年春には3種目の合計を競うパワーリフティング大会に出た。現在は月1回、専門的な指導を受けるため、兵庫県のジムにも通う。

 千葉の大会は、初の世界選手権だった。これまでは出場権を得ても海外の開催のため、子どもの世話などで出場はかなわなかった。それだけに気合が入り、米国選手との一騎打ちで圧勝した。ただ、自己ベストを2・5キロ上回る67・5キロの挑戦には失敗。「練習では挙がるのに。悔しい」と振り返り、「70キロの壁を越える」と目標は高い。

 競技に取り組み、気持ちも変化した。「以前は育児で近所付き合いもあまりなかったけど、生活にメリハリが生まれ、競技仲間もできた」。PTAの会議でも「大会優勝とか、明るい話題を提供すると、それを機に前向きな雰囲気で話し合える」と笑顔を見せる。

 重症心身障害児の長男悠作さん(17)は学校で「お母さんすごいね」と言われると、誇らしげな表情を見せたという。知的障害がある長女春音さん(13)とは自宅で一緒にトレーニングすることも。普段は寡黙な夫の剛樹さん(45)も、世界女王になった際は「おめでとう」と声を掛けてくれた。

 14日には兵庫で開かれた大会で、デッドリフト135キロ、3種目合計292・5キロを挙げ、マスターズ日本記録を塗り替えた。「家族の協力があって競技ができる。だからこそ、遊びではなく本気です」と力を込めた。