激しい降雨などが再現できる施設で救助訓練に取り組む隊員たち(京都市南区・市消防活動総合センター)

激しい降雨などが再現できる施設で救助訓練に取り組む隊員たち(京都市南区・市消防活動総合センター)

実際に火を燃やし、燃え広がりや煙の充満を再現した「実火災訓練室」。逃げ遅れた人の救助訓練などに使われている

実際に火を燃やし、燃え広がりや煙の充満を再現した「実火災訓練室」。逃げ遅れた人の救助訓練などに使われている

 京都市南区上鳥羽の市消防活動総合センターが全面運用から10年を迎えた。消防活動の拠点として、火災や自然災害、救助事故を想定した多くの設備があり、隊員や消防団員らが訓練に励む。消防学校のほか、大規模災害時には部隊の指揮や後方支援の機能も果たす。災害が激しさを増し、職員の若返りも進む中、市消防局は「さまざまな経験が積めるセンターの役割はさらに大きくなる」としている。


 昨年の11月下旬、センターの街区訓練場で特別消防訓練が行われた。京町家や共同住宅などの内外装を模した建物が並び、可動式で訓練に応じて自由に配置できるのが特徴だ。
 今回は7月に計5棟が焼けた祇園での火災を踏まえた内容。市の消防隊など計138隊が参加し、建物の屋根裏を開けて放水するなど実際の現場さながらに訓練に取り組んだ。
 センターは消防活動に必要な機能を統合し、2009年4月に全面運用が始まった。街区訓練場以外にも、火を燃やして煙の充満を再現できる部屋や地面から約4メートル低くなった低所訓練場、山岳訓練施設やコンクリートがれきの積もった震災訓練場など多彩だ。
 13年に嵐山地域が浸水した台風を受け、15年に水災害対応の施設を整備。1時間100ミリ相当の水を降らせたり、水がたまった状況でドアの開閉を試したりできる。昨年度は過去最多の1575人が活用した。
 水没車両からの救助も体験した右京消防団西京極分団の安井康一分団長(57)は「ものすごい勢いで降るだけでなく水位も上がり、水の恐ろしさを肌身で感じた。経験を生かしたい」と話す。
 一方、同センターは近隣での大規模災害時に、各地から応援で集う緊急消防援助隊の指揮や関係機関との情報連絡、資器材や燃料の補給といった機能も担う。この運用はこれまでないが、東日本大震災時には東北に向かう四国や九州の部隊が中継地として利用した。
 過去の災害や事件事故の教訓を踏まえて、設備や訓練内容を充実させてきた。昨年7月の京都アニメーション第1スタジオ(伏見区)の放火殺人事件についても、市消防局は「今後の検証結果を訓練に反映できるよう検討したい」としている。