東京で始まった北太平洋漁業委員会(NPFC)の年次会合で、日本は不漁が続くサンマの漁獲枠導入を改めて提案した。乱獲を防いで資源回復を図る狙いだ。

 水産資源は無尽蔵ではない。激減したクロマグロやニホンウナギの二の舞いを演じてはなるまい。中国など参加国の賛同を得られるよう科学的、客観的なデータに基づく丁寧な説明が欠かせない。

 北太平洋のサンマなどの資源管理を話し合う会合で、ロシアや台湾など8カ国・地域が参加し、きょう18日までに合意を目指す。

 NPFCによると、日本のサンマ漁獲量は2000~12年には年間20万トン超で推移したが、15~18年は同10万トン前後に落ち込んだ。

 海水温の上昇で漁場が北上したことに加え、日本が主に近海の排他的経済水域(EEZ)でサンマを捕獲してきたのに対し、近年、台湾や韓国、中国などの大型漁船が沖合の公海上で大量捕獲するようになり、沿岸への来遊が減っているとみられる。

 サンマの深刻な不漁に日本の危機感は強い。17年の会合で操業規制を設ける漁獲枠を提案したものの、中国などの反対で合意できなかった。18年も再提案したが、再び決裂。それでも中国とバヌアツ以外の賛成は得られ、資源枯渇への危機感は共有されつつある。

 今回は参加国・地域全体の総漁獲量の上限を年45万トン前後とする漁獲枠の設定を求めている。

 サンマ漁を巡って参加国の利害は異なる。全会一致が原則の協議は難航必至とはいえ、いずれも資源枯渇は避けたいに違いない。

 4月に開かれたNPFCの科学委員会で、北太平洋全体の17年のサンマ資源量が1980年以降で最低になったとの評価で一致した。これまで資源量の評価ですら合意できていなかっただけに一歩前進と期待したい。

 ただ気掛かりな点もある。

 水産庁は従来、日本近海にサンマが回遊する8~12月に限って操業を認めてきたが、漁獲量を確保するため、苦肉の策として今年から年間操業を解禁した。日本は乱獲防止を訴え、公海での漁獲規制を呼び掛けてきたのに、自ら公海に進出することで、これまでの主張が説得力を失わないだろうか。

 さらに日本はクジラの資源管理を話し合う国際捕鯨委員会(IWC)を脱退し、今月から商業捕鯨を再開した。参加国の協調によってサンマの漁獲規制を目指す姿勢と齟齬(そご)はないか。自国第一主義との批判を招けば合意は難しい。