歯止めがかからない少子化にどう対処するかは、参院選の重要な論点の一つだ。

 厚生労働省の人口動態調査によると、2018年に生まれた赤ちゃんの数は91万人台となり、統計開始以来、最少となった。100万人を割ったのは3年連続だ。

 女性1人が生涯に産む子どもの推定人数を示す合計特殊出生率も3年続けて下がり、1・42だ。親になる世代の人口が減っているため、今後も出生数は減り続けると厚労省はみている。

 少子化の背景には、非正規雇用の増加など経済的事情に加え、子育てと仕事との両立の難しさなどさまざまな要因がある。第2子以降の出産をためらう「2人目の壁」も教育費などを十分に確保できないことが大きな理由だ。

 その一つ一つを丁寧に分析し、障害となっている構造を改めない限り出生率回復は望めない。

 少子化が進めば、現役世代の税や社会保障の負担が高まり、経済社会の活力も損なわれる。安倍晋三首相は「国難」と呼び、25年度末までに「出生率1・8」の目標を掲げるが、実情をみれば現実的な数字とは言い難い。

 政府は10月から幼児教育と保育の無償化を始める。同時に実施される消費増税分から財源を確保、子育て支援を増やして出生率向上を狙う首相の目玉政策だ。

 だが、子育て現場が強く求めている待機児童解消につながるわけではない。

 希望しても認可保育所などに入れない待機児童は、昨秋の時点で4万7千人余り。無償化になると待機児童は減るどころか潜在的な保育需要が掘り起こされ、かえって保育所不足が深刻化する恐れがある。

 高齢者に偏る社会保障給付を子育て世代に広げることは評価できるが、無償化に財源をとられて肝心の受け皿拡大や保育士確保が進まなければ、待機児童問題は置き去りにされかねない。

 支援の優先順位は適切といえるのか。与党は懸念の声にきちんと答えてもらいたい。

 一方の野党は、子育て支援策として待機児童ゼロや公立小中学校の給食無償化、児童手当の拡充、教育の完全無償化などを公約に掲げるが、財源の裏付けを含めて実現の道筋を説明しなければ説得力を持たない。

 産みたい人が安心して産み、育てられる環境をどう築くか。現状を直視した論戦を望む。