居場所となったNPO法人で正規就労への思いを語るアルバイト男性。政府の支援策にも「最終的には自分で何とかしないといけないと思っている」と語る(京都市南区)

居場所となったNPO法人で正規就労への思いを語るアルバイト男性。政府の支援策にも「最終的には自分で何とかしないといけないと思っている」と語る(京都市南区)

 バブル崩壊後、就職難に直面した「就職氷河期世代」の有権者が、参院選の論戦を冷静に見つめている。現在、30代半ばから40代半ばになり、非正規雇用で働き、就職に失敗して引きこもりになる人もいる。政府は参院選を前に、約100万人を対象とした支援策を打ち出し、各党も非正規雇用者対策の充実を公約に掲げる。「最終的には自分が何とかしないといけないと思っている」。引きこもりから脱し、正社員を目指す滋賀県のアルバイト男性(41)に話を聞いた。

■上京、アルバイト生活、そして引きこもり…

 男性は他人とうまく話すことができない悩みを抱え、大学卒業後、企業への就職はかなわなかった。東京に出て新たな人生を模索した。パチンコ店や日雇いのアルバイトで食いつなぐ生活。31歳の時には行政のジョブカフェに通ってパソコン講座などを受けた。実務を担った人材派遣会社の社員は、事務的な対応で的確な助言はなく、正規就労には結びつかなかった。

 区が実施していた就職カウンセリングは「『頑張れば何とかなる理論』で説教されただけだった」。30代半ばで滋賀県の実家に帰り、引きこもりに。「何とかしないといけない」と、3年前に引きこもりの若者を支援する京都のNPO法人に連絡を取って居場所を見つけ、新たな資格も取得するなどして正社員の職探しを再開した。アルバイトの傍らハローワークにも通ったが、「年齢や職歴のなさからうまくいかない」。引きこもりだったという「負い目」も足を引っ張る。

 政府が参院選前に「就職氷河期世代」の就労支援を打ち出したことは知っている。3年間でこの世代の正規雇用者を30万人増やすことが目玉。ハローワークに専門窓口を設置し、専門担当者のチーム制できめ細やかな「伴走型支援」を行うという。「こうした施策は初めてじゃない。予算を業務委託先の企業に流すだけにならないか」。男性はその効果について首をかしげ、「まずは景気を良くしてほしい。職業訓練のバウチャー(利用券)を交付するなど、困っている当事者が直接恩恵を受けられる策を求めたい」と語る。

 引きこもりの人や家族を支援するNPO法人「若者と家族のライフプランを考える会」(京都市左京区)には、将来への不安を抱えるおもに30代後半から50代の当事者約30人が通う。自身もかつて引きこもりだったスタッフの中山泰輔さん(34)は就職氷河期世代の就労支援について、「自己責任論からは一歩進んだ。この世代にようやく日が当たった」と評価する一方、「正社員として雇用された後が問題。困難を抱える人も多く、勤務時間や出勤日数などの面で多様な働き方を認めてほしい。受け入れ企業側の教育も大事で、雇用後も伴走型のケアを」と望む。