一人でじっくり読み、時間をかけて頭に収めるのが熟読だが、「みんなでざっくり」1冊を読んで互いの胸に共有する読書法もある▼活発、対話という言葉が「本」を挟む、アクティブ・ブック・ダイアローグ(ABD)という名が付いた読書会が人気だ。ページや章を分担して、その場で読む。参加者が「なるほど」と思った要点を紙に書いて貼り出し、著者になりきって各自が発表後、意見交換する。この間、3時間ほど▼ABDは宇治市の会社社長竹ノ内壮太郎さんが考案し、京都市上京区のNPO法人「場とつながりラボ ホームズビー」と共に一昨年から普及に努める▼宇治であった読書会では、発達障害の子の育児体験を記した市民の著書を子育て世代の女性ら20人が読んだ。意見交換が盛り上がった▼「みんなで読み、気付きを口に出すことが一体感を生む。著者が圧縮した思想を解凍する感じがある」と言う竹ノ内さん。本好きで、分厚い専門書の読書会に長期間かけた経験から、考案した▼「積ん読」本を解消する催しをしたり、インターネットの会議システムを介したり、児童書や小説、漫画、省庁の白書、新聞を扱ったりと、各地で工夫が進む。活字文化を柔らかく、手軽で楽しいものに。そんな進化が京都で始まっていることがうれしい。