修復されたバイオリンを興味深げに見る児童たちと三浦さん(亀岡市東別院町・東別院小)

修復されたバイオリンを興味深げに見る児童たちと三浦さん(亀岡市東別院町・東別院小)

 「学校のバイオリン」がよみがえった―。京都府亀岡市東別院町の東別院小で長年、壊れたまま音楽室の片隅に忘れ去られていたバイオリンがこのほど見つかった。卒業生が約60年前の記憶を元に「探してほしい」と同小に依頼したのがきっかけ。美しく修復され、同小は「大切に引き継ぎたい」と喜んでいる。

 今年1月、校区に住む同小OBの三浦邦俊さん(70)が学校を訪れた。1955年入学の三浦さんは、当時、音楽室の備品棚の上に壊れたバイオリンがほこりをかぶって置かれていたのをふと思い出したといい、「今もあるのか探して」と安藤茂樹校長らに頼んだ。
 同小では存在を把握しておらず、記録もないうえ、2回の校舎建て替えを経ていた。教員らが校内を探すと、音楽室の奥の楽器などを保管する棚の底から、むき出しのバイオリンが見つかった。木製のボディーとネックはほぼ無傷だったが、弦はなく、4個あるはずの糸巻きも2個しか付いておらず、弓やケースなどもなかった。
 ボディーの内側に貼られた紙から、日本のバイオリン製造の草分けとされる鈴木政吉が手掛けた楽器で、量産が始まった明治末期から大正にかけての作とみられ、安藤校長らは「ピアノが高価だった当時、バイオリンで音楽の授業をすることがあったのかも」と推測。「元の美しい姿を取り戻したい」と三浦さんが修復費用の寄付を申し出て、京都市内の楽器店に持ち込んだ。
 修理が完了したバイオリンは、10月末に同小で開かれた音楽や劇の発表会「やまびこフェスティバル」で披露。亀岡市のバイオリン奏者佐々木弘明さんの演奏で、児童や住民が校歌などを歌った。
 演奏を聴いた三浦さんは「100年近く前の楽器だとは思えないほど、いい音がしました」と感慨深げ。安藤校長は「貴重な楽器が見つかりありがたい。今後も授業などで子どもたちが触れる機会をつくりたい」と話している。