参院選の投票の仕組み

参院選の投票の仕組み

 選挙の仕組みが分かりにくい-。国政、地方選挙の期間中、そんな声が京都新聞社の双方向型報道「読者に応える」に寄せられる。取材すると、複雑な選挙制度が投票へのハードルになっている実態も浮かぶ。21日は、参院選の投票日。選挙の仕組みと課題を見つめ直した。

 有権者が投票所で手にする投票用紙は2枚。最初に投じる1枚は都道府県を基本単位とした「選挙区」で、続くもう1枚は全国を一つの選挙区と考える「比例代表」だ。

 選挙区の投票は、候補者1人の氏名を記入する。今回、京都選挙区には5人が立候補しており、得票順で2人が当選する。滋賀選挙区は候補3人中、1人が当選する。比例代表は、政党や政治団体が全国で集めた得票に応じて議席が配分される。投票用紙に書くのは政党名でも候補者名でも構わない。いずれも政党の得票として数えた上で、個人名の得票数が多い順に当選者が決まる。

 投票先を選ぶ基準の一つとなるのが選挙期間中の候補者の訴えだが、有権者からみて疑問も多い。例えば「選挙カー」。なぜ連呼ばかりなのだろう。

 理由は「公職選挙法」にある。自動車からの演説は禁止で、走行中は連呼行為のみが許されている。ある候補の事務所関係者は「政策も訴えたいが、現状はどう名前を印象付けるかの勝負になっている」と明かす。演説会も、候補者や政党以外が主催できない。海外では一般的な戸別訪問も禁止対象だ。公正な選挙を実現する目的の同法だが、制限や禁止事項が多く「べからず選挙法」と揶揄(やゆ)されることもある。

 投票の仕組みでも課題がある。認知症や心身の障害などで自筆が難しい人が利用する「代理投票」だ。記入できるのは投票所職員に限られるが、認知症の妻と参院選の期日前投票に行った滋賀県の男性(85)から、「妻は字の読み書きや会話ができない。職員に妻の心が分かるのか」と制度を疑問視する声が京都新聞社に寄せられた。

 かつて代理投票では家族やヘルパーらが付き添って代筆できたが、成年後見人が付く人の選挙権が回復した2013年、第三者の不正な誘導を防ぐため、補助者を投票所の職員に限る規定が公選法に加えられた。意思確認の方法について国は、口頭や候補者表の指さし、投票先を記した紙の持参などを認めているが、実際の対応は地域差がある。

 認知症の当事者らを支援する「認知症の人と家族の会」(京都市上京区)の鈴木森夫代表理事は、「認知症の方は安心できる人がいればできることが増える。本人の意志や能力を保障するためにも付き添いは認めるべき」と話している。

 政治と有権者の間には距離があり、簡単には縮められない。投票率は低下傾向にある。でも諦めては溝がさらに広まる。1票を投じることは、政治に近づく大きな一歩になるはず。政治に緊張感を生む1票が、あなたの手元にある。