ショウブをかたどった前立を備えたかぶと。武勇を尊ぶ「尚武」の願いが込められている(彦根城博物館所蔵)

ショウブをかたどった前立を備えたかぶと。武勇を尊ぶ「尚武」の願いが込められている(彦根城博物館所蔵)

後ろに下がらない特性から武士に好まれたトンボの意匠をあしらった鉄のあぶみ

後ろに下がらない特性から武士に好まれたトンボの意匠をあしらった鉄のあぶみ

 神仏や動植物のデザインを取り入れた武具を紹介するテーマ展「武具の意匠-武士の願いと祈り-」が、滋賀県彦根市の彦根城博物館で開かれている。戦場に赴く武士の祈りを意匠に込めたかぶとや軍旗など江戸期の品を中心とした24点を並べる。

 彦根藩井伊家に伝わる桃山―江戸前期の鉄製あぶみ(長さ25センチ)は、後ろに下がらない特性から「勝虫」とも呼ばれるトンボが飛び交う柄を象眼で表す。トンボが武将に好まれる一方、多数を描いた武具は例が少なく、勝利への強い思いを映し出しているという。

 井伊家8代直定(1702~60年)のかぶとは、正面にショウブの葉をかたどった前立を備える。ショウブは古来から魔よけの植物として親しまれてきたが、武勇を尊ぶ意味の「尚武」と読みが通じることから、武具の意匠に用いられるようになったという。

 平安後期の武将、源義家(1039~1106年)の所用とされ、軍神の「八幡大菩薩」と記した軍旗もある。

 同館は「生死をかけて戦いに臨んだ武士の切実な思いが込められた意匠を見てほしい」としている。8月20日まで。入館有料。