タブレット端末に表示された「漁業ナビ」の画面。海域の水温が色で分けて表示されている(東京都千代田区)

タブレット端末に表示された「漁業ナビ」の画面。海域の水温が色で分けて表示されている(東京都千代田区)

 京都大の研究者らのベンチャー企業「オーシャンアイズ」(京都市左京区)はこのほど、漁業者を支援するシステムとして、海の水温や潮流などの予測を配信する「漁場ナビ」と「SEAoME(しおめ)」のサービス提供を始めた。漁業者が漁場や出漁のタイミングを決める参考になり、漁業の効率化につながるという。


 漁場ナビは気象衛星ひまわりが観測した海水表面温度のデータを基に、海域の水温を色で表した画像を提供する。他機関の類似サービスより約5倍の高精度となる約2キロ四方の画像で、1時間ごとにタブレット端末に配信。雲に隠れて観測できないエリアは人工知能(AI)で復元しデータの欠損がないことも特長。利用料は月額5万円から。
 また操業履歴データの提供と引き替えに魚種ごとの漁場を推定するサービスもある。データを積み重ねることで精度を高め、「勘と経験」に頼る漁業からデータを生かした効率的な漁業への転換も支援する。
 SEAoMEは海面養殖業者や定置網の漁業者の利用を想定し、スーパーコンピューターによる計算で特定海域の水温や塩分、流速を通常5日、最大14日先まで予測する。流れが突然速くなる急潮や急激な水温変化による被害防止に役立つとしている。
 同社は京大と国立研究開発法人・海洋研究開発機構の研究者が4月に設立。取締役の笠原秀一・京都大学術情報メディアセンター特定講師は「水産資源保護で、漁業は『獲(と)れるだけ獲る』から『決められた量を効率的に獲る』に変わっていく。データとAIを使い、労働生産性の向上を達成していきたい」と述べた。