大津地裁

大津地裁

 滋賀県草津市の農業用排水路などで昨年8月に男性の切断遺体が見つかった事件で、殺人や死体遺棄罪などに問われた焼き肉店経営杠(ゆずりは)共芳被告(69)の裁判員裁判の判決が6日、大津地裁であり、今井輝幸裁判長は「人間味に欠ける冷酷な犯行」として、懲役25年(求刑懲役28年)を言い渡した。直接証拠がない中、検察側が積み上げた状況証拠の評価が争点となったが、全面的に有罪認定された。


 今井裁判長は判決理由で、杠被告の車から検出された男性の血痕について、科学鑑定を基に「遺体から付着した」とする検察側の主張を認め、「被告が遺体を運搬した」と断定。運搬自体を証拠として重視した上で、第三者による男性の最後の目撃情報が被告の店舗で、遺体に病死や事故死の痕跡がないことなどから、「男性に対する加害や損壊、遺棄の行為が強く推認できる」とした。
 さらに、杠被告は男性の生前から複数の知人に対し、「男性は故郷に帰る」とうその情報を伝えていたとし、「男性の死亡を予期し、偽装工作をしていた」と強調。死体の遺棄までを短期間に行っている点にも着目し、「犯行は殺意に基づき、計画性があった」と殺人罪の成立を認めた。
 今井裁判長は動機など細部に不明点が残るとしつつ、「殺害がやむを得ないといえる事情は想定できない。被告は不合理な弁解に終始し、反省もみられない」と批判した。
 弁護側は証拠の不十分さを指摘して無罪を主張していたが、判決は「遺体から出た車内の血痕など、被告が犯人でなければ合理的に説明できない事実が認められる」として退けた。
 判決によると、昨年8月6~9日ごろ、滋賀県守山市の自宅兼店舗か周辺で、知人の無職中川直(すなお)さん=当時(69)=を何らかの方法で殺害。遺体を切断し、草津市の農業用排水路に捨てるなどした。