大野萌さんが祖父母にプレゼントしたイラスト。右が中高生時代、左が小学生時代の作品という(木津川市)

大野萌さんが祖父母にプレゼントしたイラスト。右が中高生時代、左が小学生時代の作品という(木津川市)

 「手放せないくらいかわいい子やのに。戻れるものなら帰ってきて」。京都市伏見区の「京都アニメーション」第1スタジオの放火殺人事件で、安否の分からない同社社員の大野萌(めぐむ)さん(21)=京都府木津川市=を案じる祖父母の岡田和夫さん(69)と一二美(ひふみ)さん(65)が20日、取材に応じ、胸の内を語った。

 一二美さんは、事件の5日前に萌さんと一緒に買い物を楽しんだばかり。萌さんは「ばあちゃんにも買ってあげる」と髪飾りを選んでくれたという。封を切っていない品を手に、「まだ、着けた姿を見てもらっていない」。言葉が続かなかった。

 萌さんは、幼い頃から絵を描くのが大好きだった。2人の家を訪れるとファクスの裏紙に描き、一緒に外食したレストランではアンケート用紙に筆を走らせた。

 家には、萌さんとの思い出が詰まった物が数多くある。足をけがした一二美さんが歩きやすいようにと、小学生だった萌さんが、かかとの部分に綿を詰めて手作りしてくれた室内履きは、その一つだ。

 萌さんは中学生までピアノを習い、音楽の道も考えたが絵を選んだという。京田辺市の田辺高在学中にスーパーやコンビニのアルバイトでためたお金で1年間、アニメの勉強に励み、2年前の春、夢だった京アニで働き始めた。

 正社員に登用され、描画に携わるようになって、エンドロールに自身の名前が出たことを、萌さんは喜んで報告した。「上の方に名前が載るように頑張る」と、さらなる活躍を誓っていたという。大きくなっても横にちょこんと座ってくる萌さんに、一二美さんは「いつもなら、ここにいてくれるのに」とこぼす。

 容疑者は重篤な症状が続いているとされる。「黙ったままは、一番むごいこと。どうしてこんなことをしたのか、ちゃんと話すまで生きさせてほしい」と和夫さんは言葉をはき出した。

 今年1月、成人式の振り袖を着付けた直後に撮影した萌さんの写真に目を落とした。「こういう子がいる、ということを多くの人に知ってもらいたい」