葛飾北斎が描いた歌舞伎「仮名手本忠臣蔵」の一場面(国立国会図書館蔵)

葛飾北斎が描いた歌舞伎「仮名手本忠臣蔵」の一場面(国立国会図書館蔵)

 「『みんな忠臣蔵は知っている?』と聞いてみた。子供たちのうち、知っていたのは1人のみ」-。文楽や歌舞伎、映画などで取り上げられてきた「忠臣蔵」が、若い世代に知られていないとの「嘆き」のSNS(会員制交流サイト)投稿が討ち入り決行の14日を前に話題になっている。

 ツイッターに投稿したのは、国の重要無形民俗文化財「淡路人形浄瑠璃」を受け継ぐ淡路人形座(兵庫県南あわじ市)の人形遣い吉田廣の助さん(48)だ。
 廣の助さんは、数年前から淡路人形座を訪れる小学生たちに忠臣蔵を知っているか尋ねている。だが、児童の認知度は年々低下。11月上旬、淡路人形座を訪れた大阪府内の小学生約90人に尋ねた際には、知っていると答えた児童は1人だけだったという。
 廣の助さんは、忠臣蔵を知らない子が増えている要因について、時代劇作品に触れる機会が減っていることを挙げる。
 「以前は年末になると忠臣蔵がテレビ時代劇として放映されていました。最近は放送がなくなり、環境が変わってしまったのではないかと思うのです」
 淡路人形座では、落語や講談と共演して忠臣蔵を知ってもらう企画を年数回催している。伝統芸能を担う一員として危機感を覚えている廣の助さんは「地道な活動を重ね、分かりやすく知ってもらうしかありません」と言葉に力を込める。
 一方、忠臣蔵ゆかりの地である京都市でも事情は変わらない。討ち入りを指揮した大石内蔵助隠せいの地に立つ大石神社(山科区)の進藤大長宮司(33)は「数年前、区内の小学校を訪れた際、児童に忠臣蔵を知っているか尋ねた。名前だけは聞いたことがあるという子を含め認知度は2割程度だった」と振り返る。
 「今後は、テレビなどで取り上げてもらうのはもちろん、動画投稿サイトなどインターネットでの発信も考えないといけないでしょう」と進藤宮司は語る。