多層指導モデルの手の動きの例

多層指導モデルの手の動きの例

手をたたいたり握ったりして特殊音節を学ぶ子どもたち(京都府福知山市天田・昭和小)

手をたたいたり握ったりして特殊音節を学ぶ子どもたち(京都府福知山市天田・昭和小)

 手の動きを取り入れて読み書きの基礎を習得する「多層指導モデル(MIM)」と呼ばれる言語学習が、京都府福知山市の一部の小学校で1年生を対象に行われている。読み書きの初歩でつまずきがちな、小さい「っ」などの特殊音節の表現を分かりやすく指導するプログラム。取り組みの現場を取材した。


 特殊音節とは、「う」や「お」で表す伸ばす長音、小さい「ゃ」「ゅ」「ょ」の拗(よう)音、「っ」で詰まる促音などを指す。仮名文字は通常、1音を1文字で表すが、特殊音節が含まれる言葉は文字数が増え、読み書きの初歩段階でつまずくケースがある。例えば「ねっこ」を「ねこ」と表記してしまう失敗だ。
 MIMは、2006年に国立特別支援教育総合研究所(神奈川県)が開発した。指導の手法は、言葉の発音に合わせて手を動かし、特殊音節を体で意識するのが特徴。1音ごとに手をたたきながら、特殊音節では両手を結んだり、握ったりして違いを学ぶ。
 同研究所によると、全国では彦根市など35の自治体で実施。長野県や鳥取県では県全体で取り組まれているという。自治体として最初にMIMを取り入れた福岡県飯塚市では、小学2年の国語の学力調査の偏差値が、実施前の11年度は52・5だったが、14年度には54・4になったとのデータもある。
 福知山市では昭和小で14年に初めて導入され、惇明小でも昨年から実施。発達支援の一環で未就学児へのスクリーニングも実施している。
 「ほっ、きょ、く」。昭和小で、先生の声に合わせ、1年の児童らが一緒に声に出しながら手を打つ。同小では学力補助の授業外の時間を使って、週3日取り組んでいる。「小さい『つ』を忘れないでね」。発音しない「っ」の存在に気付けるように、子どもたち自らが小さく手を握ってこぶしを作るよう先生が呼び掛ける。
 同小では、通級指導を担当する麻生博幸教諭が学習障害の学会の研修会で取り組みを知り、導入した。麻生教諭は「テストでは読むのが速くなり、問題を多く解けるようになった。正確に読むことができるようになり、ミスも減るなど効果を実感している」と話す。
 ただ、特殊音節を克服しても「てにをは」などの助詞の使い方で読みにつまずく児童もいるという。「一人一人に合った指導や時間を確保することが必要」(麻生教諭)といい、3学期には個別指導も予定している。
 福知山市では、現時点では全ての小学校で導入する予定はないとしつつ、「児童が勉強に対して意欲的に取り組むきっかけになれば」(市教育委員会)と評価している。