政府・与党は、何とか逃げ切れたと思っているのだろうか。

 2カ月余りにわたる臨時国会が閉会した。

 焦点となった「桜を見る会」を巡る疑惑は、いまだ多くが積み残されている。安倍晋三首相は自らの疑惑に説明を尽くそうとせず、与党は集中審議や会期延長の野党要求を突っぱねて幕引きに走った。

 国会を軽んじる「安倍1強」のおごりと、「言論の府」の機能不全を多くの人が感じている。政治不信が強まるばかりではないか。

 目に余るのは、政権にとって都合の悪い情報を隠そうとする姿勢だ。

 桜を見る会を巡っては、安倍政権下で招待者が急増した実態や、「前夜祭」の費用の疑惑にも、安倍氏は名簿や明細がないとして、詳しい説明を避け続けた。

 だが、内閣府が招待者名簿を「廃棄した」と答弁した5月時点でバックアップデータが残っていたことが判明。政府は「行政文書ではない」と弁明したが、責任逃れも甚だしい。閉会中審査の活用を含め、疑惑を置き去りにすることは許されない。

 情報隠しは、日米貿易協定の審議でも同様だった。日本車と部品の関税撤廃が見送られたのに、政府は撤廃後の経済効果のみを示し、野党が求めた撤廃前の試算を拒み続けた。本当に相互利益になるのか、根拠データのないまま短い審議時間で丸ごと追認した。

 安倍氏は会期中に首相在任が歴代最長となったが、長期政権の緩み、ひずみを露呈したのが就任間もない閣僚2人の相次ぐ辞任だろう。官邸側の顔色を官僚らもうかがい、教育現場の懸念や国会での批判に耳を貸さずに進めた結果、大学入学共通テストを巡る一連の混乱も招いたのではないか。

 「1強」に対抗すべく、立憲民主党と国民民主党などは統一会派を結成して臨んだ。政権追及を強め、2閣僚辞任や英語民間試験の導入見送りに追い込んだのは一定程度の成果といえよう。

 立民の枝野幸男代表は国民、社民党などに政党合流を呼び掛けた。次期衆院選をにらみ政権交代の受け皿を狙うが、合流の条件や基本政策が一致できないままでは、有権者の信頼を得られまい。

 臨時国会は疑惑解明に終始し、年金、医療をはじめ社会保障改革や財政健全化など将来に向けた重要課題の論議は深まらなかった。年明けの通常国会では、国民の負託に応える議論で国会が存在意義を示さねばならない。