大津地裁

大津地裁

 大津市大萱6丁目の丁字路で5月に保育園児の列に車が突っ込み園児ら16人が死傷した事故で、自動車運転処罰法違反(過失致死傷)などの罪に問われた無職の女性被告(53)の論告求刑公判が10日、大津地裁(大西直樹裁判長)で開かれた。亡くなった園児2人=いずれも当時(2)=の父親が「子どもを返して」などと意見陳述し、法廷はすすり泣きに包まれた。検察側は禁錮5年6月を求刑し、弁護側は刑の減軽を訴えて結審した。

 意見陳述で、男児の父親は、事故当日の朝、男児が出勤を初めて見送ってくれたのが最後の別れだったことや、数時間後に病院で遺体と対面して「ごめんね、ごめんね」と謝り続けたことを明かした。被告に「返事をしない写真に話しかけるつらさ、遺骨を抱えて話しかけるつらさが分かりますか。いい大人が、タイムマシンがないか本気で考えています」と涙声で訴え、「どんな重い罰でも納得できない」と語気を強めた。
 女児の父親は「人の気持ちが分かる優しい子に、と名付けた通り、弟を抱っこするなど優しい子だった」と話した。事故3日後の収骨の際、「ろっ骨が原形をとどめていなかった」と振り返り、「もっと遊んであげていたら。もっと抱っこしていたら」と悲しみを吐露した。被告に対し、「許すことはできない。家族全員の願いは、(女児を)返してほしい」と締めくくった。
 重傷の女児2人の父母は「真摯(しんし)な反省を全く感じない」「事故の瞬間のドライブレコーダー映像を見て胸が張り裂けそうだった」と語った。担任だった女性保育士の代理人が「子どもたちを守ってあげられず、PTSDに苦しんでいる」などと述べた。5人全員が厳罰を望んだ。法廷には遺族や被害者の家族、事故に遭った保育士計24人が訪れ、大勢のすすり泣く声が途切れなかった。
 被告は、時折涙をぬぐい、うつむいて聞いていた。最後の意見陳述で「一生罪を償っていく」と書面を読み上げ、遺族らに向かって頭を下げた。
 検察側は論告で「被害結果は極めて重大」と強調。弁護側は情状酌量を求めた。判決は来年1月16日。
 起訴状によると、5月8日午前10時14分ごろ、乗用車で確認を怠って右折し、対向の軽乗用車と衝突。弾みで軽乗用車を歩道の園児列に突入させ、園児と保育士計16人を死傷させた、などとしている