人口減少時代を迎えたのに、身の丈に合った予算規模から遠ざかるばかりではないか。

 政府の2020年度予算案の一般会計総額が過去最大を更新するという。当初予算として初めて100兆円を突破した19年度の101兆4571億円を上回る。

 19年度は過去最高の税収が見込めたが、20年度は低調となる見通しだ。このため歳入不足を補う国債発行額が、第2次安倍晋三政権以降で初めて前年度当初比で増加する可能性がある。

 そうまでして巨額予算が必要なのか、大いに疑問だ。一層の説明が求められるが、政府は「痛み」の議論を避け、漫然と歳出拡大を続けているようにしか見えない。

 膨張の要因はいくつか挙げられる。19年度に半年分を計上した幼児教育・保育の無償化費用は、通年で国と地方を合わせて8千億円超が必要となる見通しだ。

 景気対策のキャッシュレス決済によるポイント還元制度は、来年6月までの3カ月分だけで2500億円程度を計上する。想定を上回って利用が伸び、当初計画での積算の甘さがあらわになった。

 この制度は安倍首相が還元率を5%に高めると表明して追加の手当てを迫られた経緯がある。だが活用が進む大都市と地方との地域格差も目立っており、効果が厳しく問われそうだ。

 さらに来年9月から始まるマイナンバーカードを使った新たなポイント制度ではカード取得促進との二兎(にと)を追い、約2500億円が充てられる。

 財政健全化のための消費増税が景気対策の大盤振る舞いを呼び込んでいる。増税で家計の負担感は増すのに将来不安が払拭(ふっしょく)されないのでは、目的を見失っている。

 8年連続の増加となる防衛費は約5兆3千億円まで肥大化する。米国製の高額な武器調達を含み、貿易赤字削減へのトランプ政権の意向に応える意味が大きい。

 一方で、高齢化に伴う社会保障費は19年度に比べ4千億円程度の増加が見込まれている。団塊世代が75歳以上になり始める22年以降は急増が予想される。

 国の借金は1千兆円を超える。史上最長となった安倍政権だが、将来を見据えて財政健全化への道筋をつける姿勢に乏しいのは残念といわざるを得ない。

 政権の終わりが近づいたと感じているのか、一段と無節操になっているかのようだ。景気対策や防衛費を「聖域」としていいのか。圧縮する努力を示すべきだ。