ハート形をした山梨県乙女鉱山産の水晶の日本式双晶

ハート形をした山梨県乙女鉱山産の水晶の日本式双晶

 京都帝国大(現京都大)教授だった鉱物学者の比企忠(ひきただす)博士(1866~1927年)が収集した標本の展示会が31日から、京大総合博物館(京都市左京区)で開かれる。現在は入手できないような国内最高峰のコレクションが公開され、美しい鉱物の世界を楽しむことができる。

 比企博士は帝国大(現東京大)を卒業し、1898年に京都帝大の助教授に着任。国内外の鉱物研究に打ち込み、標本のコレクションは国内屈指の質、量を誇るとされる。教育面では在野の地学研究者として著名な益富壽之助博士(1901~93年)らを指導した。

 同博物館によると、比企博士のコレクションは工学部で長年保管されていた。一方、かつて日本の工業を支えた鉱山の閉山が相次いだり学問研究の関心が変化したりして、コレクションの存在を知る人も少なくなった。中には結晶が割れてしまった標本もあったという。

 2001年の同博物館開館に合わせてコレクションが移管されると、12年から標本を分類、整理する作業が始まった。18年に館内に標本を展示する常設コーナーが設けられ、広く市民に魅力を知ってもらおうと、今回の展示会を企画した。

 展示会では約600点を公開する予定。愛媛県市ノ川鉱山で取れた輝安鉱の結晶や、水晶がハート形に組み合わさった山梨県乙女鉱山産の「日本式双晶」、兵庫県にあった岡野村(現丹波篠山市)に落下した隕石(いんせき)など、貴重な標本を展示する。かつて日本社会を支えた鉱山の歴史、鉱物研究の現状も紹介し、比企博士が病床で記したという標本の解説書「標本の志るべ」も見ることができる。

 同博物館の白勢洋平助教は「解説書を読むと、比企博士は愛をもって鉱物を集めていたと感じられる。実物のすごさを感じてほしい」と話している。

 11月3日まで。月曜と火曜、8月14日が休館。入館料が必要。詳細は同博物館のホームページから。