コンゴ(旧ザイール)東部でエボラ出血熱の流行が続いている。国境地帯で感染者が出ており、隣国へ広がる恐れがあるとして、世界保健機関(WHO)は「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」に該当すると宣言した。

 国際社会は連携を密にして拡大防止に取り組まなければならない。

 エボラ出血熱はエボラウイルスが原因の感染症で、主な症状は高熱や頭痛、皮膚からの出血。致死率は25~90%に上るとされる。感染者の血液や体液などに接触して感染する。確立した治療法がないことから、二次感染の防止が大きな課題だ。

 コンゴでは2018年8月に流行が始まってから、疑い例を含め感染者は2500人を超え、1600人以上が死亡している。先月には隣国のウガンダで感染者が確認されたほか、今月にはルワンダ国境に近いコンゴの大都市ゴマでも感染者が出た。

 鉱物資源を巡る紛争で武装勢力が乱立しているコンゴ東部では、医療スタッフ襲撃が頻発している。「エボラ熱は外国人が持ち込んだ」とのデマを信じて医療従事者を敵視する住民もおり、治療や予防が十分に行えない現状は極めて深刻だ。

 13~16年に西アフリカのリベリアやギニアなどで1万人以上の死者を出したエボラ熱の流行で、WHOは対応が遅れ、批判を受けた。同じ過ちを繰り返さないよう、WHOと各国は危機感を共有し、コンゴや周辺地域への支援に努めるべきだ。

 日本の厚生労働省は発生地域に近づかないよう注意を呼びかけ、検疫を強化するとしている。海外渡航者は十分に警戒する必要がある。

 また、厚労省は東京都武蔵村山市にある国立感染症研究所の施設に、感染症法で最も危険な病原体に分類されるエボラ熱や南米出血熱など5種類の原因ウイルスを輸入する計画を進めている。

 来年の東京五輪・パラリンピック開催による訪日客増加で、危険な感染症が国内に持ち込まれるリスクが高まるとの懸念がある。ウイルスを保有することで、感染が疑われる人が出た場合の迅速で正確な診断や、回復の判断、検査に役立てるのが狙いだ。

 輸入にあたっては、厳重な漏出防止策を講じるとともに、必要な情報は可能な限り明らかにするべきだ。受け入れ先の地域住民の不安を払拭(ふっしょく)するためにも、厚労省には丁寧な説明が求められる。