10月に予定されている消費税率引き上げまで約2カ月に迫った。

 政府は方針通り実施する構えだが、小売店などで準備の遅れが目立っている。

 増税と併せて導入する飲食料品の軽減税率や、ポイント還元といった経済対策が乱立し、複雑な仕組みが影響しているのは否めない。

 準備が行き届かなければ、消費の現場に混乱を招き、店舗や消費者の間で大きな不公平を生みかねない。幅広い理解を求めつつ、対応の加速をどう図るかが国に問われよう。

 準備の遅れは中小事業者で顕著だ。軽減税率に対応したレジの導入は、中小店舗への国補助制度への申請件数が6月末で約11万2千件にとどまる。12月までに想定した30万件の4割に満たず、過去2回の増税延期による様子見ムードも響いているようだ。

 景気の腰折れを防ぐための経済対策でも、クレジットカードなどキャッシュレス決済の買い物へのポイント還元は、登録申請した中小事業者が約20万店で、数百万とされる対象店舗のごく一部だ。7月中に申請しないと10月の開始に間に合わない恐れがあり、これでは下支え効果を十分に望めない。

 軽減税率そのものも分かりにくい。飲食料品は、客が購入して持ち帰れば税率8%に据え置かれるが、店内で飲食すると「外食」と見なされて標準税率10%が適用される。線引きは入り組んでいる。

 さらに中小店舗でのポイント還元は代金の5%分で、軽減税率8%の飲食料品の実質税負担は3%となるが、中小でもコンビニや大手外食チェーンの加盟店での還元率は2%と複雑きわまりない。

 国は、店側に対応を促す講習会や相談事業を進めているが、混乱を避けるには消費者側にも分かりやすく説明し、制度の浸透を図ることが不可欠だろう。

 先の参院選は、10月増税を掲げた与党が過半数を維持する一方、消費税廃止を訴えた「れいわ新選組」が無党派層などに支持を広げた。選挙後の共同通信社の世論調査でも10月増税に「反対」が依然、過半数を占めている。

 軽減税率や、増税分の使い道に加えた教育無償化でも富裕層ほど恩恵が大きく、総額2兆円超もつぎ込む経済対策の配分や効果への根強い疑念もうかがえる。

 今回の消費増税は、少子高齢化が進む将来の社会保障費を広く国民負担で確保するのが本旨のはずだ。政府は国民の負担感や不公平感から目を背けてはならない。