キャンバスに向かう高橋さん。一瞬を大切に生きたいと語る(長浜市宮前町)

キャンバスに向かう高橋さん。一瞬を大切に生きたいと語る(長浜市宮前町)

審査員賞を受けた「過ぎ去りし日々 Day Dream」

審査員賞を受けた「過ぎ去りし日々 Day Dream」

 潰瘍性大腸炎や関節リウマチなど自己免疫疾患の患者を対象にした芸術作品展で、滋賀県長浜市宮前町の画家高橋誠さん(63)が入賞し、審査員賞を受けた。「絵を描くことは今を生きることそのもの」と、病と闘いながら希望を胸に筆を執る。

 高橋さんは19歳の時に見た米国人画家アンドリュー・ワイエスの絵に感動して以来、趣味で絵を描いてきた。だが2008年に爪がはがれ、体中に白い湿疹ができ、4年後に自己免疫疾患である尋常性乾癬(かんせん)と診断された。

 指先が痛み絵筆を持つことや衣服の着替えができないなど日常生活も困難だったが、医師の「大丈夫、一緒に頑張っていこう」という言葉に支えられ治療を続けた。苦悩の日々だったが12年9月には新薬による治療で「夢のように」劇的に症状が改善し、60歳を機に画業に専念することを決意した。

 受賞作品「過ぎ去りし日々 Day Dream」は20号の油彩画。前を向く人魚と鮮やかな水泡をモチーフにこれまでの人生を重ねて描いたという。審査では「幻想的な水泡が消えていく様子に苦悩の日々から解放された瞬間が表現されている」と評価された。

 今も3カ月に一度の通院が欠かせないが、高橋さんは「治療法が進み重い病気と闘っている多くの人が笑顔を取り戻すことを願っている。あきらめずに希望を持ってほしい」と話す。

 同展はより多くの人が自己免疫疾患を理解し、支援の輪を広げることを目的に15年から医薬品企業「アッヴィ」(東京都)が主催。「疾患と生きる。私の新たな可能性」がテーマで、今回は全国の5歳から89歳までの57人から絵画や写真、陶芸、版画など81点の応募があった。

 自己免疫疾患とは 免疫システムが正常に機能しなくなり正常な細胞や組織を異物として攻撃し炎症が起きる。関節リウマチ、乾癬、クローン病、多発性硬化症、潰瘍性大腸炎、全身性エリテマトーデスなどがある。近年、患者数が増加しており難病に指定されている疾患も多い。