「反物背たろうて歩いてたらな、向こうの方からえらい肩で風切って歩いて来るもんがいるなあと、脇によけて恐る恐る見たらどうやら新撰組やったんや。なんとも言えん目つきでな、目ぇで斬られる思うたわ…ってうちの先祖さんが言うてはった」

 これは同級生が口伝えで代々語り継いできたご先祖さまの昔話で、話し方も新撰組を実際に見たご先祖さんのしゃべり口調なのか、とってもリアル。私はこのくだりが大好きで飲み会の席で彼女に会うたび「なあ、あの話して」とせがんでは、ビール片手に一人、幕末にタイムスリップしては身震いするのです。

 静岡の袋井市には「たまごふわふわ」という気持ちがゆるっとなりそうな名前の郷土料理があり、全卵を泡立てて沸騰しただしの中に注いでいただくのですが、あの新撰組局長近藤勇が大好物だったそう。ふふふ、家に着くなり強張(こわば)った顔をほころばせて食べてたんやなって想像する私です。


◆小平泰子 こひら・やすこ 1977年京都市生まれ。旬の食材を使い、和食にとらわれず、食材の組み合わせの面白さを提案したレシピを考案。中京区烏丸三条と東京・日本橋で料理教室を開く。近著に「季節の野菜と果物でかんたんおつまみ」がある。インスタグラムはyasukokohiragokan