事前確定運賃開始に合わせて行われた配車アプリを使ったデモンストレーション(京都市)

事前確定運賃開始に合わせて行われた配車アプリを使ったデモンストレーション(京都市)

      京都のタクシーと配車アプリ企業の提携が広がっている。車両と乗客を効率的に結びつける配車アプリは、新たなタクシー利用手段として普及しつつあり、料金が乗車前に決まる新サービスも始まった。アプリ各社は京都で激しいシェア競争を繰り広げる一方、売り上げ減やドライバー不足が進むタクシー業界は、提携で需要開拓や運行の効率化を図る。

 「全く新しい配車サービスで、タクシー事業を変える可能性を秘めている」。乗車前に運賃が決まる「事前確定運賃」が京都で始まった11月15日、記者会見した近畿運輸局の末満章悟自動車交通部長は力を込めた。

 利用者がスマートフォンのアプリで地図上に出発地と目的地を入力すると経路や所要時間、料金が示され、確定すると近くのタクシーが迎えに来る。配車アプリにより可能になったサービスだ。利用者にとっては渋滞や回り道による料金アップの心配がなく利便性が向上し、タクシー会社にとっては料金トラブルの回避や運行の効率化につながる。

 日本交通(東京)グループ会社の配車アプリ「JapanTaxi」と提携し、京都で先陣を切って事前確定運賃を開始したキャビック(右京区)の兼元秀和社長は「客を探しながらの運転は危険を伴う。アプリ経由ならば近くの利用者に自動的に案内され、運転に集中できる」と乗務員側の利点を挙げる。熟練ドライバーでなくてもアプリが乗客と結びつけるため、売り上げ増や新人の定着にもつながると期待する。

 タクシー各社がアプリ活用に積極的な背景には、先細る事業や人材への危機感がある。

 京都府内の京都市以南エリアでは、タクシー総営業収入は2003年度の541億円から15年間で113億円減少した。乗務員不足もあって車両の稼働状況を示す実働率は直近10年で10ポイントほど低下。高齢化も進み、法人タクシー運転者の平均年齢は14年度に60歳を超えた。配車アプリはこうした現状の打開策として期待される。

 配車アプリ各社も観光でにぎわう京都でシェアを伸ばそうと相次いで参入し、提携先を広げている。「JapanTaxi」は、地場最大手の彌榮自動車(下京区)やキャビックなど30社、計約5千台と提携。米配車大手ウーバー・テクノロジーズ日本法人の「Uber」は、エムケイ(南区)の約500台と組む。中国配車サービス最大手の滴滴出行が出資するDiDiモビリティジャパンの「DiDi」やディー・エヌ・エーの「MOV」も京都に進出し、割引やクーポン配布で利用者獲得を競う。

 「JapanTaxi」の運営会社によると、同アプリのダウンロードは800万を超える。東京では日本交通の無線配車は8割が同アプリ経由に変わっており「少子高齢化が進む中、相乗りなど新たなサービスを開発してタクシーを進化させたい」とする。

 10月11日から「DiDi」とも提携を始めたキャビックは、10月末までにDiDi経由で1万件超の利用があったという。同社は「クーポンなどキャンペーンの効果か、若い人が特に多かった。今後、京都でもタクシー利用はアプリ経由に移行していくのではないか」とみる。