FW選手と一緒にグラウンドを走る京都産業大の大西監督(中央)=京都市北区・神山球技場

FW選手と一緒にグラウンドを走る京都産業大の大西監督(中央)=京都市北区・神山球技場

 関西大学ラグビーAリーグの京都産業大ラグビー部を47年間にわたって指導してきた大西健監督(69)が、監督として最後の全国大学選手権に挑む。自身の定年に伴い、今季限りで勇退する。「いついかなる場合もチャンピオンシップを目指す集団である」という不動のチーム理念を掲げ、初戦となる15日、勝負のグラウンドに立つ。

 世界殿堂入りした大畑大介さん(44)やワールドカップ日本大会でも活躍した田中史朗選手(34)ら多くの日本代表選手を育てた名将。1973年に京産大に赴任し、関西リーグで4度優勝、大学選手権で7度の4強入りを誇る。
 学生らしくひたむきに取り組む姿勢を最も大切にし、自身にも選手にも求めてきた。「ラグビーが下手でも一生懸命に取り組む。努力して強くなれる部分は何か」と考えていく中で、FW選手が担うスクラムとモールを鍛えて戦うスタイルを確立した。強力FWがチームの看板になった。
 思い出深いシーンとして、87年に初めて同志社大を破った試合や93年の大学選手権で早稲田大に競り勝った試合を挙げる。「プライドを持って次代につなぐ『伝統』という言葉に強く引かれる。特に慶応大や同志社大はリスペクトしてきた」。伝統校に挑戦し、壁を打ち破ることで歴史の浅い京産大ラグビーの伝統を築いてきた。
 つらい経験もある。2008年には入れ替え戦に回りBリーグ降格の危機に。「おれと引き替えに(チームを)残してくれ」と監督辞任を表明し選手に奮起を促した。17年には試合中に当時の主将が大けがを負い、現在も車いすで生活している。「トレーニングをすることで、けがをさせない自負があった。リハビリに取り組む彼の明るさ、姿に励まされ、救われた」と打ち明ける。
 退任後は「京産大やラグビーへの恩返しをしたい」と誓うが、今は目前の試合に集中する。「日本一という夢を一緒に追ってきたOBたちのためにも勝ちたい」と最後の大舞台を見据えた。