外国人ら大勢の観光客でにぎわう嵐山商店街(京都市右京区)

外国人ら大勢の観光客でにぎわう嵐山商店街(京都市右京区)

「嵯峨嵐山おもてなしビジョン推進協議会」が製作した、ポイ捨て防止を呼び掛けるTシャツ

「嵯峨嵐山おもてなしビジョン推進協議会」が製作した、ポイ捨て防止を呼び掛けるTシャツ

 京都市西京区と右京区にまたがる嵯峨嵐山地域。一帯では近年、外国人観光客の急増とともに、道路上へのごみのポイ捨てが増えている。京都でも一、二を争う人気観光地の景観を守ろうと、地元商店街や住民らが対策に乗り出している。ごみ問題に地域ぐるみで取り組む人たちを取材した。


 紅葉シーズン真っただ中の11月下旬。平日の午後、JR嵯峨嵐山駅から渡月橋へと向かう道は観光客でいっぱいで、外国語が飛び交っていた。商店街では食べ歩きを楽しむ人も多い。ただ、食べ終わった後の袋やカップを道路に置いたまま立ち去る人もいた。
 「朝、店のシャッターを開けると、食べかすやカップが散乱していることがある。ごみ対策は、嵯峨嵐山地域の早急の課題」と嵐山商店街の副会長石川恵介さん(50)は肩を落とす。
 京都市が行った2018年の観光総合調査によると、同年に京都に訪れた外国人観光客は805万人。このうち「嵐山・嵯峨野」を訪れたのは32・1%で、13年の27・9%から大きく伸びている。
 外国人観光客の増加に合わせるように、嵯峨嵐山地域には、食べ歩きができる飲食物を販売する店が増えた。「飲食しながら散策することが、ポイ捨てにつながりやすいのかもしれません」と、石川さんは複雑な表情で話す。
 嵯峨嵐山地域の五つの商店街でつくる「嵯峨嵐山おもてなしビジョン推進協議会」は昨年から、食べ歩きの対策として、ごみ箱の場所を記した地図を配布している。「ゴミは決められた場所へ」と英語と中国語、韓国語で書き、観光客にマナーを守るよう呼び掛ける。今秋には、ポイ捨て防止を絵で分かりやすく訴えるTシャツも作成。同協議会のメンバーがイベントの場などでそろって着用し、注意喚起している。
 また、協議会では店舗側にもできる対策を求める。加盟店に包装を減らすよう依頼したり、近年問題化しているプラスチックごみ対策として紙袋や紙ストローの導入を促したりしている。
 さらに、観光人力車も対策に力を入れる。運営するえびす屋総本店は今年4月、嵯峨嵐山地域を走る約50台の人力車にごみ箱を設置した。目立たないよう、引き出し型の箱を座席の底に取り付けている。現場の車夫から生まれたアイデアで、業務の合間に道路上で見つけたごみを拾ってごみ箱に入れ、会社まで持ち帰っているという。
 同社では毎日始業前に、地域一帯のごみ拾い活動も続けている。車夫の浅井浩靖さん(48)は「人力車で走っていると、道路に落ちているものが目に入る。お客さんに美しい景色を案内するため、きれいな嵯峨嵐山を維持したい」と話す。
 嵐山保勝会の田中克彦専務は「文化や習慣の違いもあり、一方的に押し付けることは難しい」といい、「京都人らしいおもてなしの心を忘れず、上手に外国人観光客と共存していくことが必要」と指摘する。