観光と文化をテーマに意見を交わした閣僚級会合(京都市左京区・国立京都国際会館)

観光と文化をテーマに意見を交わした閣僚級会合(京都市左京区・国立京都国際会館)

 国連観光・文化京都会議が12日、京都市左京区の国立京都国際会館で開幕し、閣僚級会合では8カ国の大臣らが持続可能な観光や文化の保護について意見を交わした。観光客の急増が市民生活を脅かす「観光公害」も議題に上り、参加者からは「地域住民に利益をもたらすことが重要」との声が相次いだ。

 国連の推計では、他国を観光で訪れる人は年間12億人に上る。混雑やごみ、文化財の破損といった「観光公害」は、京都市のほか、スペイン・バルセロナやイタリア・ベネチアなど世界各地で発生している。
 閣僚級会合では、カンボジアの高官が世界遺産のアンコールワット遺跡周辺で、新しい情報技術を使った文化遺産体験に取り組んでいることを紹介。「観光客の流れを管理し、地域と観光客のあつれきを払拭(ふっしょく)することが必要」と訴えた。
 クロアチアの高官は政府が宿泊施設の利用者に関するデータを集約し、年齢や目的地などからつかめる傾向を訪問先の分散化に生かしていることを報告した。ナイジェリアの大臣は観光の恩恵を地域にもたらすため、博物館をつくって地域の伝統工芸品の保存と活用に役立てていると説明し、「伝統工芸品の売り上げを制作者に還元することで、地域主体の文化観光が実現できている」と述べた。
 京都市の門川大作市長も講演した。国連教育科学文化機関(ユネスコ)無形文化遺産の祇園祭に触れ、「多くの観光客に見ていただいていることが地域の誇りになり、価値の再認識につながる」と観光と文化の結びつきの重要性を説明した。「観光公害」の解決に向けた取り組みも紹介した。
 「観光の質の向上と相互理解」がテーマの分科会では、妙心寺退蔵院(右京区)の松山大耕副住職ら5人が登壇した。米国中西部のサウスダコタ州で先住民と観光の橋渡しを行っているベン・シャーマン氏は、「観光には破壊があり、住民を巻き込んでいないか注意すべき。修理、改善し、小さな声に耳を傾けてこそ持続可能性が生まれる」と指摘した。
 会議は、国連世界観光機関(UNWTO)とユネスコが共催する観光と文化をテーマにした国際会議の4回目。70カ国から政府関係者らが参加している。13日は別の二つの分科会の後、京都宣言を採択して閉幕する。