今年のノーベル賞授賞式では、旭化成名誉フェロー吉野彰さんが化学賞を受け、日本中が沸いた。開発したリチウムイオン電池は再生可能エネルギーによる電力を蓄え、持続可能な社会づくりに役立つ▼同様に、地球の持続可能性に貢献した受賞者がいたことに心を留めたい。貧困問題を解決する具体的な手法を編み出した経済学賞の米マサチューセッツ工科大デュフロ教授ら3人である▼支援策を行った集団と、そうでない集団を比較することで、効果を検証する。貧困世帯の子どもたちが学校に通えるようにするには、お金を配るより、教育の重要性を親に理解してもらう方がよいことなどが分かったという▼デュフロ氏らは無知やイデオロギー、惰性が、貧困からの脱出を妨げているとも指摘する。そんな折、「今年の漢字」に「令」が選ばれたのは、誠に感慨深い▼新しい元号「令和」の1字であり、万葉集から取った意義は認めても、「命令」への連想から、よい印象を持たない人もいるようだ▼けれども辞書は、神のお告げに沿う立派なことや範、則といった意を併記する。自然や社会の道理に従って、有効な施策を打つことの大切さを示し、今回のノーベル賞に通じている。単に利便性を追求したり、お金をあげたりするのは、必ずしも令ではない。