京都地裁に入る生活保護費減額訴訟の原告団ら(14日午後1時31分、京都市中京区)

京都地裁に入る生活保護費減額訴訟の原告団ら(14日午後1時31分、京都市中京区)

 国が2013~15年の生活保護費の基準額を引き下げたのは生存権を侵害して違憲だとして、京都市内の40~80代の男女42人が、国と京都市を相手に、保護費の引き下げ処分取り消しと1人1万円の慰謝料を求めた訴訟の判決が14日、京都地裁であった。増森珠美裁判長は「厚生労働相の引き下げ判断に裁量権の逸脱、乱用があるとは言えない」として原告側の請求を退けた。

 国は2008年から13年の間に物価の指数が4・78%下落したとして、13年8月から15年4月までの3年間で生活保護費のうち、衣食や光熱費に充てる「生活扶助」の基準額を平均6・5%、最大10%引き下げ、計約670億円を削減。受給世帯の96%が対象となった。

 引き下げ判断が厚労相の裁量権の範囲内か否かが主な争点となっていた。原告側は、引き下げは健康で文化的な最低限度の生活をうたった憲法25条に反すると主張。国が専門家の検討を経ず、独自の指数を用い、物価が高騰した08年を起点とした計算で恣(し)意(い)的に基準額の引き下げを決めたと訴えていた。

 判決理由で増森裁判長は、「08年以降、デフレ傾向にあったのに改定が行われず、生活保護受給世帯の可処分所得が相対的、実質的に増加しており、物価下落率算定の起点を08年とすることは合理的だ」と指摘。独自の指数を用いた手法を含め、「判断の過程および手続きに過誤、欠落があったとはいえない」と判断した。

 厚労省は「生活扶助基準の改定が適法であると認められた。今後も自治体との連携を図りつつ、生活保護行政の適正な実施に努めて参りたい」とコメントした。原告側は控訴する方針。

 原告弁護団によると、29都道府県で約900人が訴えを起こした同種訴訟で5件目の判決。大阪地裁で今年2月、原告39人に対する処分を取り消した一方、名古屋、札幌、福岡の各地裁では原告側の訴えを退けている。