トラックを改造したロマンライフの移動販売車。京都の各地を巡回し、洋菓子を届けている

トラックを改造したロマンライフの移動販売車。京都の各地を巡回し、洋菓子を届けている

地元客を狙って出店した「グランマーブル四条御旅庵」で戦略を練る山本社長(京都市下京区)

地元客を狙って出店した「グランマーブル四条御旅庵」で戦略を練る山本社長(京都市下京区)

 土産用や贈答用を主力とする京都の菓子メーカーが、自家用商品の販売に力を入れている。新型コロナウイルス禍の影響で観光客が長期にわたって落ち込んでいるため、地元客の需要を取り込む。各社は京都での移動販売や出店を強化し、地元ファンの開拓を目指している。

 荷台の窓から制服姿のスタッフが商品を渡す。洋菓子店「マールブランシュ」を展開するロマンライフ(京都市山科区)が昨年7月に始めたトラックでの移動販売は、地元客との接点拡大に大きな役割を果たしている。

 「『幸せ必需品』の菓子を提供し続けることが当社の存在意義。移動販売を利用しに来てくれるお客さんは想像以上に多く、当初は1時間で売り切れた」。河内優太朗常務は販売車に多くの人が集まる光景に、商売の原点を見つめ直した。

 京都の隅々を巡回して対面販売を続ける一方、昨年10月には本社機能を備え、カフェと売り場を併設した旗艦店舗「マールブランシュ ロマンの森」を山科区に開店した。さらに今夏にはジェイアール京都伊勢丹(下京区)にカフェを出店した。河内常務は「京都府民が半分を占める約20万人の当社会員を基盤に、地域の深掘りを目指す」と意気込む。

 デニッシュ製造のグランマーブル(南区)も、地元志向を強める。9月には京都市下京区四条河原町エリアに茶室を模した新店を出した。店が面する四条通は買い物客や通勤・通学客が行き交う京都最大の繁華街で、山本正典社長は「一帯は緊急事態宣言下でも人通りにあまり影響がなかった。コロナがなければ借りられなかった特別な場所だ」と期待を込める。

 土産向けや婚礼向けの需要回復が遅れているため、同社の業況は依然厳しいが、山本社長は「「コロナ収束後の『消費爆発』に備え、我慢を続ける従業員のためにも前を向く材料がほしかった」と出店理由を説明する。

 持ち帰り専門店を相次いで出店しているのは、土産菓子の美十(南区)。2019年に高級食パン専門店「別格」を中京区で開業後、いなりずし、クロワッサンサンドなど商品の多角化を進めている。今年7月には横浜市のベーカリー企画会社と協業し、カレーパン専門店を京都駅地下街ポルタ(京都市下京区)に出した。

 土産用の菓子に続く事業として自家用食品に照準を定め、生産・販売網の構築を急ぐ。酒井宏彰社長は「地元の人に普段から食べていただける商材を育て、(主力の生八ッ橋『おたべ』と両立させて)リスクの分散を図る」と話す。