開店時間を早め、来店客を迎える準備をする男性オーナー(11月24日午後3時、京都市中京区・「Bar orange」)

開店時間を早め、来店客を迎える準備をする男性オーナー(11月24日午後3時、京都市中京区・「Bar orange」)

先斗町通で店を探す人ら。平日の夜や遅い時間帯は、依然人通りはまばらなままという(11月30日午後6時50分、京都市中京区)

先斗町通で店を探す人ら。平日の夜や遅い時間帯は、依然人通りはまばらなままという(11月30日午後6時50分、京都市中京区)

 新型コロナウイルス対策の酒類提供自粛や営業時間短縮が京都府内で解除されてから1カ月余り経過し、飲食店ごとの回復ぶりに濃淡が見られる。感染者の減少と紅葉シーズンが重なり、一部の店では観光客を中心ににぎわいが戻っているが、時短営業に慣れた人が多く、夜遅い時間帯の客足は依然鈍い。大人数での飲食を避ける意識が浸透しているため、忘年会の予約が低調な店も多く、飲み屋街は厳しい冷え込みが続きそうだ。

 「週末は新型コロナ禍前の3分の2程度まで戻ってきた」。居酒屋「酔心」などを京都市内で運営する黛(中京区)の荻野善之営業部長は対応に追われる。好調の要因は紅葉で、見頃を迎えた11月中旬以降は特に利用者数が増え、アルバイトの確保に奔走する。

 ただ、もろ手を挙げて喜べる状況ではない。感染症対策としての仕切りの設置や、1テーブルごとの人数制限で受け入れ可能なのは定員の7割程度。特に気がかりなのが来店客の回転率。「できるだけ上げたいが、午後9時になると客足はぴたっと止まる」という。

 先斗町通沿いのビルに店を構える「Bar orange」(中京区)の男性オーナーは「行動様式の変容が定着している」と見ている。長らく続いた自粛生活の影響で、夜遅くまで外食する人は減り、2軒目以降に使われることが多いバーには厳しい状況が続く。「少しでも客足が回復するという希望は覆されました」と肩を落とす。

 同店は、酒類提供などの制限が解除された10月22日、営業時間を通常の午後4時~午前3時にしたが来店客数は戻らず、日付をまたいでからの入店はほぼないという。日中の観光客を狙い、11月中旬以降は営業時間を2時間前倒しした。

 年末年始は飲食店にとって書き入れ時だが、大人数の利用を見込める忘年会や新年会も回復の兆しは見えない。1部屋最大150人が利用できる「宴の館さざんか亭本店」(中京区)の予約は、コロナ禍前の1割にも満たない。「第3波」の渦中にあった昨年とは違い、今年は感染者数減少が続いているが、男性店長は「多人数の宴会は会社からの制限は残っていて、『行けても3月の歓送迎会ぐらいになる』と聞く。致し方ない」と残念がる。

 府内の飲食店でつくる府料理生活衛生同業組合の理事長で「山ばな平八茶屋」(左京区)の園部平八会長は「行政の助成金がなくなった今、人の流れはあっても夜が動かないだけに、余計に苦しい店が多い」と指摘する。行動制限が徐々に緩和されていることに望みを託し、「来年の春や秋を見据えて耐えるしかない」と話した。