京都銀行の土井伸宏頭取

京都銀行の土井伸宏頭取

 サッカー観戦。地元の京都サンガF.C.を熱烈に応援しています―。

 趣味やプライベートを尋ねられた際の私の常套(じょうとう)句だ。実際私は、京都サンガのホームゲームを観戦するためにできる限り亀岡のスタジアムに足を運ぶようにしている。前身の京都紫光クラブ時代から応援しているのだから古株だろう。そのサンガが、12年ぶりにJ1に復帰する。より高いステージでの強敵との試合が今から待ち遠しく、期待が膨らむばかりだ。

 昨年のサンガの試合談議は尽きない。印象に残った数ある試合の中から一つ挙げれば、10月の第33節・SC相模原戦だ。2-1での勝利で昇格へ向けて大きく前進した試合。2-0でリードして終盤に入り快勝かとみていたところ、後半30分に、この試合最初のコーナーキックで簡単に1点を返されると、その後は押され続けてヒヤヒヤした。試合終了のホイッスルが鳴ると、とにもかくにも勝ち点3を手に入れたと、ほっと胸をなでおろした。

 ところが曺貴裁(チョウキジェ)監督は試合後、選手に厳しい言葉をかけた。試合終盤の時間帯を今年一番ひどいと評価。心の緩みに要因があるとして、ワンプレー、1秒で人生が変わってしまう職業だということが分かっていない。プロフェッショナルとして、まだまだ甘さがある、との趣旨のコメントを残された。この時、サポーターから経営者へと、私の意識がふと変わった。私を含めて京都銀行の行員も、勝利というものに対してもっと貪欲であるべきではないか、と。

 実をいうと私は、かねて曺監督のコメントに耳を傾け、経営者目線に置き換えて咀嚼(そしゃく)してきた。スポーツと銀行業では全くジャンルは異なるが、プロフェッショナルという点では同じだ。1秒で銀行員人生が変わることはないだろうが、一つ一つのプレー(仕事ぶり)の積み重ねは大いに影響する。個人技(個人のスキル・能力)は重要だが、チームプレー(組織貢献の行動)もおろそかにしてはいけない。どこか共通する部分があるのだろう。曺監督の言葉は、経営者としての私にしばしば気づきを与えてくれる。時折サポーターとしての熱狂からさめてしまうのは考えものだが、それでもサッカー観戦は、私の生活において不動のポジションとして定着している。

 新型コロナウイルス感染拡大で、多くの方々が日常生活でさまざまな制約を強いられており、その期間も長期化している。スタジアムに足を運ぶことさえできない時期もあった。それでもサッカー観戦というイベントで生活にアクセントが生まれ、その存在は生活に彩を添えてくれた。そう感じているのは私だけでないだろう。もちろん経済への効果も無視できない。

 サッカーだけでなくスポーツ全般に言えることだが、コロナ禍から経済を再生し、豊かな生活を取り戻すうえで、そのパワーは計り知れない。こうした思いとともに、京都銀行は、京都サンガや京都ハンナリーズを支援している。

 どい・のぶひろ 1956年、京都市生まれ。滋賀大経済学部卒。80年、京都銀行入行。秘書室長、人事部長などを経て2007年に取締役就任。常務取締役を経て15年から現職。京都銀行協会会長、京都商工会議所副会頭。