スマートフォン上でアバターを操作し、観光情報などに触れられる「京都館 PLUS X」

スマートフォン上でアバターを操作し、観光情報などに触れられる「京都館 PLUS X」

2018年3月に閉館した東京駅八重洲口前の「京都館」(東京都中央区)=京都市提供

2018年3月に閉館した東京駅八重洲口前の「京都館」(東京都中央区)=京都市提供

 京都市が仮想空間「メタバース」に開設した首都圏向けの情報発信拠点「京都館 PLUS X(プラスエックス)」が本格的に稼働した。閉館した現実世界の常設施設の代わりとして地元産品の販売や観光客誘致を担うが、財政難の中、民間資金頼みの綱渡りの運営が続きそうだ。

 京都館は元々、2006年10月に東京駅八重洲口前にアンテナショップとして開設された。来場者は年間約25万人に上っていたが、入居ビルの建て替えで18年3月に閉館。地価が高騰する東京にリアルな施設を再び設けることは困難と判断し、今年3月にバーチャルの拠点を構築した。

 新しい京都館は東京都渋谷区の宮下公園を再現した仮想空間に開設され、利用者はパソコンやスマートフォンで自分の分身「アバター」を操作し、3次元視点で館内を見て回れる。個人や友人らだけで利用する「プライベート」と、不特定多数と空間を共有する「パブリック」の二つの入館方法を選ぶことができ、アバター同士が近づくとマイクで会話もできる。

 石畳が敷かれた館内には和風建築のPRブースが並び、寺社や伝統行事を紹介する動画の視聴や伝統工芸品などを扱う通販サイトへのアクセスができる。イベント開催を想定したステージも設けられている。

 開設は一筋縄ではいかなかった。当初は費用を2千万円と見込み、うち1500万円を企業版ふるさと納税による寄付で確保する計画を立てたが、応募はゼロ。委託事業者に手を挙げた大日本印刷(東京)から既に開発していた宮下公園のシステムを活用する提案があり、自主財源の500万円の範囲で運良く賄えた。

 ただ、22年度予算に計上した事業費1千万円も全て寄付など民間資金を当てにする予定で、先行きは不透明だ。「モデル実証期間」の位置付けが終了する24年度以降にも開設し続けられるかは「市の財源に頼らずに自走できるかにかかっている」(市担当者)という。

 今後、地元企業などが有料でPRに活用できる仕組みを整えるという。市クリエイティブ産業振興室は「リアルの宮下公園を利用する若い世代も含め、幅広く訪れてもらいたい。まずは市主体のイベントなどでにぎわいをつくり、企業の積極的な活用を促したい」としている。