観光客や芸舞妓が行き交う京都市東山区の祇園。劇場として80年以上前に建てられた弥栄会館を大規模に増改築し、帝国ホテル開業に向けた工事が行われている。城郭のような意匠で高さ約30メートルある会館は、花見小路から見える側がシートに覆われ、戦前からの歴史にいったん幕を下ろしたような姿で立つ。建物の保存を望んだ地元の願いに応えつつ、新たなもてなしの舞台に再生する工事が、幕の内側で進んでいる。

 工事は昨年6月に始まった。会館を象徴する花見小路側の外観を残すため、計画では南西側の壁と建物の一部をL字形に残し、増築分と一体化する。地上の解体作業が今春に終わった段階だ。北東側はシートがなく、解体後に残ったコンクリート壁がむき出しになっている。

 足場を上る。風雨に耐えた外壁タイルが並ぶ。柱や壁はひび割れや剥落も目立つ。エレベーターと階段のある塔屋に来ると、