御簾(みす)に檜扇(ひおうぎ)と葵の織文様の綸子地に、襟から褄(つま)、裾にかけて種々の裂地が貼り合わされたようなデザインの間着(あいぎ)。〈白綸子地寄古裂島原褄模様間着〉は、修繕の跡も多く、持ち主の愛着と共に使い込まれたことがしのばれます。気品漂う一領です。 

〈白綸子地寄古裂島原褄模様間着〉江戸時代末期(19世紀中期)、千總蔵

 間着は、打掛や小袖の下に重ねて着用される衣装です。表から見える部分は少ないですが、襟元や袖口、裾からチラリとだけ見せるための意匠に、贅が凝らされています。

織物がアップリケ!?

 本衣装は、褄から裾にかけて表だけでなく裏にも裂地の意匠が施されています。一つ一つの裂地は厚みがあり、撚り糸で縁取りが施されているため、一見すると織物がアップリケされているように見えますが、実はすべて刺繡によって表されています。繡糸が剝落してしまっている箇所には下絵の跡が残っており、間着本体の綸子地に直接刺繡されていることが分かります。

 

  裂地の意匠には、亀甲、麻の葉、七宝、三重襷、松皮菱などの割付文様、笹蔓、唐草といった有職文様、流水に楓、鯉の滝登り、梅に尾長鶏のような絵模様、草花では桐、葵、菊、桜、牡丹、鳥獣では、龍、獅子、鶴、鴛鴦(おしどり)、兎など、100種類以上もの文様が細やかに表されています。

 *〈白綸子地寄古裂島原褄模様間着〉は、千總ギャラリー「小袖の裏事情」展で、5月23日まで展示中。展覧会詳細は、こちら

 一般社団法人 千總文化研究所 株式会社千總がもつ有形・無形文化財を核として、「京都」「技術」「美」の3つのテーマを柱に調査研究・教育普及活動を実施。学際的研究を通して、文化と社会のつながりを浮き彫りにし、新たな文化の創造と継承を目指している。

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