男性も女性も、細やかな刺繡が施された衣装を身にまとう。豊かな手仕事が、民族の古い記憶を呼び覚ますようだ。優しい光を受けて、穏やかな表情の人たちが時空を超えてたたずんでいる。

 

 写真展「Timeless Hutsuls-ウクライナ フツルの民族衣装-」。フランス・パリ在住の写真家ユーリー・ビラクさんの日本で初めての個展だ。額装、小品合わせ26点のポートレートが並ぶ。

ウクライナ文化に親しみ育つ


 ユーリーさんは、ウクライナにルーツを持つ。

 

 ユーリーさんは1961年、第2次世界大戦時にフランスに移ったウクライナ人の両親のもとに生まれた。ウクライナの文化に親しみながら育ち、1983年に初めてウクライナを訪れた。現地の舞踊などに惹かれ、以降、舞台での活動やワークショップを基軸に、欧米で舞台役者、監督、劇場内での写真家として幅広く活動した。

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 2000年に入り、本格的に写真家としての活動に転向。2014年ウクライナで起こったマイダン革命をきっかけに、ロシア-ウクライナの問題にも焦点をおき、兵士やボランティア、医者、そして戦争と隣り合わせの市民の日常を撮り続けてきた。

山間の平和な日常
 

 しかし、写真展の作品に写るのは、平和な日常だ。ウクライナの山間部に暮らすフツル民族の村で2004年から6年にわたる取材で生まれた。

 

 フツル民族は、ウクライナの南西部、スロバキアやポーランド、ルーマニアなどにまたがる全長約1500kmのカルパチア山脈の山間に暮らす。都市生活から隔絶されたこの地域では、何世紀もの間に独自の伝統的秩序や生活様式、羊飼いなどのなりわいといった文化が育まれてきた。

自身のルーツとの邂逅
 

 *写真展「Timeless Hutsuls-ウクライナ フツルの民族衣装-」
  5月6日まで、京都市南区のワコールスタディホール京都ギャラリーで開催中。無料。10:00~20:00、土日祝休館。5月3~5日は10:00~17:30特別開館。
(KYOTOGRAPHIE 京都国際写真美術祭 サテライトイベント「KG+」参加展覧会)

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