THE KYOTOのInspiration企画で、隔週火曜日に連載中の「「Percolate 時を食し伝え残す」。アーティスト・写真家八木夕菜さんとカリナリーディレクター中東篤志さんが、若狭と京を結ぶ鯖街道から1000年続く食をみつめる。私たちの日常に欠かせない「食」。2人はそれを、アートに昇華させる。

 

 「Percolate」には「浸透する」という意味がある。

 「ゆっくり時間をかけて浸透していく。鯖街道で1000年以上つながれて来た食文化から名付けた」。中東さんは、タイトルに込めた思いを語る。八木さんは「1000年続く食に触れることが文化を育むことだと感じる。それを写真でどう表現できるか」と自らにテーマを課す。

八木夕菜(やぎ・ゆうな) 2004年ニューヨーク・パーソンズ美術大建築学部卒業。「観る」という行為の体験を通して物事の真理を追求し、視覚と現象を使った作品制作、インスタレーションを国内外で発表している

向日葵と稲…陰と陽


 毎回、さまざまな生産者を訪ね、食材と、その食材で作った料理の写真を撮る。最初は福井県小浜市の「ひまわり米」だった。田んぼで向日葵を育て、立ち枯れた花や茎を漉き込んで稲の肥料とする栽培法。2人が訪れたのは枯れた向日葵と実る稲穂が両方見られる頃だった。

 向日葵の種を1粒載せた俵形のおむすびを、八木さんは陰影のある写真に仕上げた。

 「向日葵と稲、陰と陽、それを表現したかった」

 命の循環を表しているようだ。

 

 中東さんにとっては現場で発見することが多い。

 「生産者と話したり、食材をもらったり、八木さんの撮影を見ているうちに料理のインスピレーションが湧いてくる。本当にそのときの空気感次第」

 新鮮な食材に、新鮮な発想が刺激されるという。

中東篤志(なかひがし・あつし) 京都市出身。料理人一家に生まれ、12歳から父のもとで料理を学び始める。高校卒業後、バス・フィッシングのプロを目指して渡米。23歳から料理の道に戻り、ニューヨークの精進料理店で副料理長兼GMを務めた。日本で育まれる飲食文化の海外発信のため、カリナリーディレクターとしてOne Rice One Soup Inc.を設立。ニューヨークと京都を拠点に日本食のイベント企画や飲食店のプロデュース、運営、食からの地域創生事業などを手がけている

野外フェスティバル「やせのそとあそび」開催
 日時:5月27~29日 10:00~16:00
 会場:叡山電鉄八瀬比叡山口駅周辺、高野川両岸
 鯖街道沿いの食材や料理、アウトドアグッズの販売、木遊び体験が楽しめます。
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