20 May 2022

思考のかたち

 建築の端々に現れる豊かなディテールは、建築家や施主、施工者の思考と智慧の集積だ。私たちの営みと環境に深く根差す。
Photo by 八木夕菜

栗原邸(旧鶴巻邸) #1

【外観】
 栗原邸は、京都市山科区に佇む鉄筋コンクリートブロックのモダン住宅。

 1929(昭和4)年、京都高等工芸学校(現京都工芸繊維大学)の校長で染色家であった鶴巻鶴一の邸宅として建築家本野精吾の設計により建てられた。

 栗原邸の外壁に見られるコンクリートブロックは、本野精吾の自邸よりも精度が高く、玄関ポーチはセセッション風の半円形、鉄筋コンクリートのビシャン叩き仕上げとなっている。本野が1924年に自邸を設計した際に採用した、建築家中村鎮(まもる)のコンクリートブロック(通称:鎮ブロック)を、合理性と機能性に注目しモダニズムを追求する形で用いているのに対し、栗原邸では、セセッションに見られる豊かで美しい表現の追求に関心が寄せられている。

 
 
 
 
 
 
 
 

*2007年に、モダニズム建築の保存に関する国際組織「DOCOMOMO Japan」によって、優れた日本のモダニズム建築の1つとして選定され、2014年には国の登録有形文化財になっている。2011年から、京都工芸繊維大学大学院の教育プログラムの一環として修復作業が行われてきた。 
 現在栗原邸は、建物の歴史的文化財的価値を保ちながら活用してくれる新しいオーナーを募集している。

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