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京都の空き町家再生へネット出資 宿泊施設改装へ取り組み

クラウドファンディングによる空き地の活用策について話し合う関係者たち。収益性との両立が課題だ(京都市東山区・きっさこ和束)
クラウドファンディングによる空き地の活用策について話し合う関係者たち。収益性との両立が課題だ(京都市東山区・きっさこ和束)

 インターネット上で資金を募るクラウドファンディング(CF)を活用し、京都市東山区にある住民不在の長屋と空き地を再生させる試みが進められている。所有者の相談を受けた不動産業者らが、長屋を宿泊施設に改修する計画をまとめてCFで投資を呼び掛けたところ、短時間で目標額に到達。空き地もにぎわい創出と収益を両立させる利用法を検討中だ。関係者は「空き家や遊休地を活用するモデルにしたい」と意気込んでいる。

 長屋と空き地は東山区の本町通に面した京町家の裏にある。持ち主は京都府和束町在住の喜多見すみ江さん(64)。以前は賃貸用の長屋が6戸あり、喜多見さんの夫の実家が京町家とともに所有していたが、約10年前の火災で4戸が焼けて空き地になった。残った長屋のうち1戸は住人がいない。

 喜多見さんは夫が亡くなったため、建物と土地を相続。このうち京町家は2016年にカフェ兼貸し会場「きっさこ和束」として改装オープンさせた。残る長屋の活用を京都市に相談すると、市の「地域の空き家相談員」を務める下京区の不動産会社社長、山下善彦さん(53)を紹介された。

 山下さんは町家を活用したゲストハウスを数多く手掛けたことから、長屋も高級宿泊施設に改装して運営事業者に貸す計画を立案。改修費の融資を金融機関に相談したが、建築基準法の規定で再建築が難しい路地裏の物件であることなどを理由に難色を示された。

 そこで東京のCF運営会社と連携し、宿泊施設で得られる収益を投資家に分配する仕組みを考案。ネットで出資を呼び掛けると、半日で目標の5千万円を調達した。年内開業を目指している。山下さんは「お金だけでなく、空き家再生に関わることに意義を感じた投資家もいた」と振り返る。

 喜多見さんはCFによる空き地活用も期待する。現在はフリーマーケットを月1回開いているが、より多くの人が集まるイベントを開いたり、芝を植えたりするのが夢だ。「約20年住んだ和束町の特産品の茶や野菜を京都の人に知ってもらう場にしたい」と願う。

 5月中旬には、山下さんをはじめ宿泊施設運営事業者やCF運営会社の役員らが現地に集まり、空き地の利用と資金調達の方策を議論した。具体化はこれからだが、山下さんは「空き地活用への公的支援は不十分だけに、CFが成功すれば大きい」と話している。

【 2018年05月27日 12時00分 】

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