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和装業界、新規業者が存在感 ユニーク商品で市場開拓

平山さん(左)が起業したモダンアンテナの商品。カラフルな着物や帯をそろえる=京都市右京区
平山さん(左)が起業したモダンアンテナの商品。カラフルな着物や帯をそろえる=京都市右京区

 老舗企業のイメージが強い京都の和装業界で、新規参入の事業者がユニークな商品づくりで存在感を放っている。オーダーメードで着物を仕立てる高級誂(あつら)え友禅や、モダンなデザインの若者向け着物などで、インターネットによる情報発信や通信販売で消費者と直接つながっているのも特徴だ。時代のニーズをつかむビジネスで地歩を固めつつある。

 誂え友禅の「京きもの連佳(れんか)」(京都市北区)は今春、初めての展示会を自社のアトリエや東京で開いた。繊細な色合いの本格的な手描き友禅や刺繡(ししゅう)の着物、帯を出品。来場者は両会場で約200人に上った。同社がSNS(会員制交流サイト)などで発信した作品やコーディネートを見てファンになった30~60代の女性たちが多かったという。

 社長の野原佳代さん(35)は「来場者から、自分のためだけの着物が欲しいというニーズを聞いた。同性に相談できるのがうれしいと喜んでもらえた」と手応えを語る。

 野原社長は、京都の呉服店勤務を経て独立した。消費者と対面して要望を聞き取り、職人とともにオーダーメードの着物を作る。和装は流通構造が複雑で、消費者の好みが職人に伝わりにくく、価格も高くなりがちだ。そこで、職人に直接発注する「特別な一点もの」に商機を見いだした。目指すのは女性が映える着物づくり。「万人向けの着物だけでなく、その人の好みや年齢、雰囲気にぴったりの着物が求められている」と意気込む。

 綿や麻の洋服地を用いた着物を製造販売するミミズクヤ(下京区)は、服地販売店に勤務した経験を持つ花山菜月さん(31)が2014年に起業した。水玉やチェックなどの柄を用いた着物で、シャツやワンピースのような感覚で着られるのが特徴。価格も1万円台からとお手頃だ。

 SNSで話題になり、昨年の売り上げは14年の4倍近くに増えた。顧客は20代が中心だが、最近は50代にも広がっているという。花山さんは「欲しい着物がなかったので自分で作り始めた。かわいい着物は消費者に支持される」と自信を深める。

 着物のインターネット通販をいち早く始めたのは、和装メーカーのモダンアンテナ(右京区)。グラフィックデザイナーだった平山佳秀さん(46)が07年に起業した。

 ラムネの瓶が並ぶ浴衣やイギリスの国旗をあしらった帯、ジャージーのような白いラインの入った小紋など、斬新なデザインを少量生産する。「ファッションが好きな人に着物を届けたい」という狙いが、消費者に直接アプローチできるネットショップという形態にぴったりはまった。ユニークな着物として雑誌に取り上げられ、今年5月にはカナダでも展示会を開いた。

 和装産業に詳しい立命館大の吉田満梨准教授(マーケティング論)は「流通構造の変化やインターネットの普及、世代交代が重なり、参入障壁が高かった和装産業で新しいものづくりをする業者が出てきている。消費者が着物に求める多様な価値を反映しており、市場はより魅力的になりつつある」と分析している。

【 2018年06月22日 17時00分 】

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