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三洋化成、新型リチウムイオン電池製品化へ 高容量「全樹脂型」

全樹脂電池のイメージ
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 三洋化成工業は2020年度をめどに、開発中の新型リチウムイオン電池(LiB)を製品化する。新しい製造法を用いて機能性を高めた「全樹脂型」の製品で、大規模蓄電池などの幅広い用途での展開を目指す。10年後には電池事業の売り上げ規模を1千億円程度に育てる考えだ。

 同社や関係者らによると、開発中のLiBは、集電体の材料を通常の金属箔(はく)から樹脂製フィルムに変更。電極材の物質も樹脂で覆う。樹脂を用いることで製造工程を大幅に簡素化。安全性が高く、高容量化も可能になる。例えば、これまででは作れなかった大型の蓄電池を安価に生産したり、3Dプリンターで複雑な形状の製品を作れたりするという。

 用途には、工場やビル、発電所で使う定置型の蓄電地などの産業用途を想定。ウエアラブル端末などへの展開も視野に入れる。同社のLiBに関する特許を調べると、日産自動車と共同で出願したものもあり、両社で車載用への展開を検討している可能性もある。

 安藤孝夫社長は4日、京都新聞社の取材に対し、「バッテリー市場は今後拡大する。電池事業は(直近の年間売上高約1600億円の)三洋化成工業がもう一つできるくらいの大事業になる可能性がある」と強調した。

 今後10年間で100億円近い研究開発費を投じる考えを示し、「設備投資などで他社とも提携し、売上高1千億円程度の事業に成長させたい」と述べた。

■「世界変える電池に」共同開発の堀江・慶応大特任教授

 三洋化成工業と共同でリチウムイオン電池(LiB)を開発する慶応大の堀江英明特任教授は4日、全樹脂型電池について「世界の電力システムを変える電池になる」と強調した。

 堀江氏は日産自動車出身で、電気自動車用のLiB開発などを主導してきた。その経験を踏まえ「これまでほぼ同じ製法だったLiBを第1期とすれば、全樹脂型は第2期の主流となる技術。三洋化成工業の界面制御技術のおかげでブレークスルー(突破口)ができた。世界に普及できる」と自信を込めた。

 全樹脂型電池の利点について「乾燥工程が不要で製造が簡素化するため、設備投資コストが大幅に下がる。単電池を積み重ねるだけで良いため必要な部材も削減できる」と指摘。「安全性も高く、くぎを打ち込んでも発火しない」と説明した。

 その上で「ネットワークで制御しながら電力をためて使う時代が来る。全樹脂型は、今のLiBでは難しい縦10メートル、幅30メートルといった大型電池も原理的には作れるため、送配電に使う大型蓄電所も実現できる。発電量にむらがある太陽光発電などにも有効だ。エネルギー産業を支える製品が京都から生まれてほしい」と期待を示した。

【 2018年07月05日 09時35分 】

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