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京セラや経産局が特許公開サイト 活用企業を募る

京セラが開設した特許の紹介サイト。スマートフォンに採用された技術などを説明している
京セラが開設した特許の紹介サイト。スマートフォンに採用された技術などを説明している

 大手企業が、特許技術などの知的財産を広く公開し、活用する企業を募る取り組みが広がっている。京セラは、5月に自社特許を紹介する専用サイトを開設。近畿経済産業局も、大手企業の特許と中小企業を結びつける事業を行っており、京都企業が製品化に成功した例もある。特許を提供する側、活用する側の双方ともにビジネスチャンスの創出につなげる狙いだ。

 京セラは、新設したサイトで10テーマの特許技術を写真とともに分かりやすく紹介する。自社のスマートフォンに採用した「速度情報を重ねて動画を撮影できる技術」や「2画面で表示する技術」のほか、まだ製品化には至っていない「テーブルや壁をスピーカーに変える振動技術」などを載せている。

 狙いは、自社で気づかなかったアイデアを他社に生かしてもらい、新規事業に結びつけることだ。実用化の過程で、自社の部品事業のビジネスにつながる可能性もある。特許技術を消費者にアピールすることで、スマホなどの販売が伸びる効果も期待している。

 同社は国内外で約1万6千件の特許を保有する。国内企業ではトップクラスだが、これまでは「他社に技術をまねされないよう多くの特許を取ることに注力してきたが、積極的に発信はしていなかった」(知的財産部)。新たな活用策を模索する中、若手社員の発案で専用サイトを開設したという。

 掲載テーマは今後100にまで増やす計画だ。「特許の提供によるライセンス収入が主目的でなく、ビジネス全体を伸ばすのが目的。中小企業にも使ってもらいたい」(同)としている。

 近畿経済産業局は、2011年から大手企業の開放特許を中小企業の課題解決につなげる「知財ビジネスマッチング事業」を展開している。特許はウェブサイトや交流会などで中小企業に紹介。本年度はアークレイが「老化を抑制する機能性食品素材」を開放するなど、37社が特許を公開している。

 成果も出ている。寝具製造販売の大東寝具工業(京都市伏見区)は12年、同事業を通じて日産自動車の高級合成皮革を知り、クッション開発につなげた。高級車のアームレストに使われる肌触りの良さや耐久性が特徴で、現在も順調に売れているという。大東利幸社長は「事業がなければ、これほど良い素材に出会えなかった。今後も新素材を活用したい」と話す。

 知的財産の公開は、外部の知見を技術革新につなげる「オープンイノベーション」の流れもあって近年注目されている。トヨタ自動車は15年、燃料電池車の普及に向け、同電池関連の特許を無償提供すると発表。川崎市は大手企業の特許を中小企業に結びつける取り組みをきめ細かく行っており、「川崎モデル」と呼ばれている。

 近畿経済産業局は「特許を活用すれば、開発コストが削減できる。活用企業と結びつけるのが難しいので、今後はマッチングに力を入れたい」(知的財産室)としている。

【 2018年07月29日 19時30分 】

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