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地銀、収益縮小で店舗改革 用件別窓口や書類電子化

タブレット端末を活用し、書類作成の電子化を試行する京都銀行の大宮支店(京都市下京区)
タブレット端末を活用し、書類作成の電子化を試行する京都銀行の大宮支店(京都市下京区)

 地方銀行が店舗改革を急いでいる。日銀のマイナス金利政策の長期化によって収益環境が一段と厳しくなる中、店舗の業務を効率化して営業部門に人員を割く戦略だ。人口減少やインターネットサービスの利用拡大で来店者自体も減少傾向にあり、各行は新時代の店舗像を模索している。

 「クイック」「サービス」「相談」。滋賀銀行は5月、瀬田駅前支店(大津市)の窓口を3種類に分け、来店客の用件に応じて案内する方式に変えた。

 クイック窓口は入出金や振り込みを受け付け、来店者に立ってもらったまま事務を処理する。平均待ち時間を導入前の8分から3分に縮める目標だ。ついたてがあるサービス窓口は口座開設などに、個室型の相談窓口は資産運用や住宅ローンにそれぞれ対応し、来店者に座ってもらう。

 「高速道路のETC(自動料金収受システムの)レーンのように、簡単な用事であれば早く済む窓口に案内し、来店者がスムーズに流れるようにした」。戸田秀和ICT戦略室長は狙いを説明する。滋賀銀は2016年に八幡駅前支店(近江八幡市)で店舗改革を試行し、今年から都市部の大型店にも広げた。来春までに全店で展開する計画という。

 店舗改革の背景には、来店者が減り続けている現状がある。多くの地銀はITなどの活用で業務をスリム化する一方、企業や個人の営業に人員を振り向けて収益力を高める方針だ。人口縮小に加え、急速に広まるネットバンキングなどの非対面の金融サービスも実店舗の役割や機能の再考を迫る。滋賀銀の高橋祥二郎頭取は「10~20年先を見据え、店舗のあり方を考える必要がある」と話す。

 京都銀行は、今秋に完成する新店舗の長浜支店(長浜市)を次世代型の「軽量店舗」と位置付ける。金庫室を設けず、接客スペースを広げ、ロビーには来店者が自ら操作して入出金や振り込みができる「セミセルフ端末」を初めて導入する。

 店舗業務の効率化も加速させる。今年5月からはタブレット端末を活用し、行員が現金や通帳などを店舗外で預かった場合に作成する書類の電子化を一部店舗で試行している。店舗に戻ってからの書類整理や点検を不要にすることで、事務処理に費やす時間の削減を目指している。

 新たな店舗形態で顧客との接点拡大を図る動きもある。奈良県が地盤の南都銀行は、複数の生命保険会社の商品を扱う「乗り合い代理店」最大手、ほけんの窓口グループ(東京)との提携店舗を今月上旬に近畿で初めて木津川市と奈良市に開設した。従来の支店や出張所の中に窓口を設け、来店者の要望に沿った商品を販売する。

 平日営業の銀行店舗では出会いにくい30~50代の現役世代と接点をつくり、保険を起点に各種ローンや資産運用などの相談を銀行の店舗に素早くつなぐ狙いだ。南都銀の橋本隆史頭取は「外部の販売チャンネルの活用や土日営業など特色のある店舗づくりを進めたい」と力を込める。

【 2018年08月07日 12時20分 】

ニュース写真

  • タブレット端末を活用し、書類作成の電子化を試行する京都銀行の大宮支店(京都市下京区)
  • 3種類の窓口を設け、来店客の用事に応じて案内する滋賀銀行の瀬田駅前支店。利便性向上と店舗業務の削減を図る(大津市)
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