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最賃上昇、中小企業からは悲鳴も 恩恵波及へ支援必要

京都府内の最低賃金について採決する京都地方最低賃金審議会の委員。経営者側委員は反対したが、賛成多数で26円の引き上げが決まった(京都市中京区・京都労働局)
京都府内の最低賃金について採決する京都地方最低賃金審議会の委員。経営者側委員は反対したが、賛成多数で26円の引き上げが決まった(京都市中京区・京都労働局)

 労働者に支払う時給の下限である最低賃金(最賃)が、京都府、滋賀県ともに現状より26円引き上げられる方針が6日決まった。上げ幅は現行の方式となった2002年以降最大で、経済団体や中小企業の経営者からは「経営への負担が大きすぎる」と悲鳴が上がる。一方、労働者からは「まだまだ低い」との不満も根強い。労使双方が満足する水準とするには、経営体力が弱い中小企業への支援策が不可欠だ。

 「京都府北部は特に景況感が悪い。最賃がこれ以上引き上げられると、企業の存続に関わる」。6日に開かれた京都地方最低賃金審議会。会議の終了後、経営者側の委員である京都北都信用金庫の京崎操専務理事は危機感をあらわにした。

 今回決定した10月1日発効予定の最賃は、京都府は882円、滋賀県は839円。いずれも7月に厚生労働相の諮問機関である中央最低賃金審議会が示した目安通りの決着となった。

 近年の最賃引き上げは、個人消費を増やし、経済の好循環を生み出したい政府の方針によるところが大きい。政府は千円を目指すが、経済界からは「努力はしたいが、官製主導のため引き上げ幅が大きすぎ、ついていけない」(京都経営者協会)との声が上がる。

 府南部でコンビニエンスストア5店を運営するストリーム(木津川市)の小川明人社長は「最賃が上がればアルバイトの時給を上げざるを得ないが、その分のコストを商品の価格に上乗せすることもできない。役員報酬を減らすしかない」とこぼす。府内の食品販売会社の人事担当者は「本末転倒だが、パートの契約時間を短くすることも検討しないといけない」と漏らす。

 政府も企業の支援策として、事業所内で最も低い賃金を30円以上引き上げた場合、業務改善で導入した設備の購入費の一部を助成する制度を設けている。だが、京都中小企業家同友会は、設備投資をしにくい業種では利用のハードルが高いとして、「実態に即した支援をするべきだ」と訴える。

 企業側が賃金の引き上げに二の足を踏む一方、労働者側は「一人で家計を支えるシングルマザーなどは時給1500円はないと自立できない」(京都生協パート職員労働組合)などと強調。京都総評やきょうとユニオンなどの労働団体は、時給1500円にすべきだと主張している。

 京都地方最低賃金審議会は「現在の最賃引き上げに向けた助成金は不十分」として、中小企業への支援策の拡充を行政に求める付帯決議を労使双方の賛成で採択した。今後、労使双方が満足する最賃を実現するには、支援制度の拡充に加え、戦後最長に迫る景気拡大の恩恵を中小企業や地方にまで波及させる努力が政府や大企業に求められそうだ。

【 2018年08月08日 22時20分 】

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  • 京都府内の最低賃金について採決する京都地方最低賃金審議会の委員。経営者側委員は反対したが、賛成多数で26円の引き上げが決まった(京都市中京区・京都労働局)
  • 京都府、滋賀県の最低賃金の推移
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