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「ちょい乗り」でタクシー増収 京都・運転者不足解消が課題

繁華街で客待ちするタクシー。後部の窓には4月に改定された初乗り運賃450円のステッカーが貼られている(京都市下京区)
繁華街で客待ちするタクシー。後部の窓には4月に改定された初乗り運賃450円のステッカーが貼られている(京都市下京区)

 今年4月に京都市(旧京北町を除く)以南の京都府南部でタクシーの運賃が改定されて以降、事業者の売り上げが増加傾向にある。府タクシー協会の調査によると、代表的なタクシー会社12社の6月の営業収入は前年同月比で7%近く伸びた。初乗り運賃の距離短縮と運賃体系全体の値上げがまずは奏功したといえる。今後は増収効果を、負担が増した利用者に対するサービス向上や、課題である運転手不足の解消につなげられるかが問われる。

 運賃改定は、府南部の法人車両で7割を超す事業者の申請を受け、国土交通省近畿運輸局が認可した。従来の小型車1・7キロ=610~550円を、1・2キロ=450~410円に変更。距離や時間に応じた加算運賃も見直し、運賃全体では平均8・17%の値上げとした。中型と小型の料金区分は廃し、普通車に統一。深夜早朝割り増し(2割増)の開始も1時間早めて午後10時からとした。

 府タクシー協会は運賃改定の効果を見定めるため、府南部のタクシー事業者から12社を選び、4月以降の輸送実績を調査した。その結果、合計の営業収入は4月で前年同月比2・33%増、5月で2・85%増、6月で6・73%増と伸長した。

 さらに実車1回当たりの営業収入は、4月で12・04%増の1461円、5月で10・34%増の1494円、6月で14・55%増の1480円とふた桁アップで推移し、営業効率が改善した。一方、輸送人員はほぼ横ばいで推移しており、値上げによる利用控えの影響はそれほど見られない。

 運転手の給与体系は運賃収入と連動する歩合制が取り入れられているため、同協会は「運転手の手取りが増えており、運賃改定は今のところ効果が出ている」と受け止める。

 ■運転手不足解消 道半ば

 タクシー各社は、運賃改定の目的について、「ちょい乗り」と呼ばれる短距離利用の喚起と値上げで収入を増やし、輸送サービス向上のための原資や運転手の確保に結びつけることを挙げていた。

 サービス面では、高齢者や障害者、背の高い外国人でも乗り降りしやすい仕様にした新型車両「ユニバーサルデザインタクシー(UDタクシー)」の導入が、地場大手を中心に進められている。スマートフォンによるキャッシュレス決済への対応も一部の事業者で始まった。府タクシー協会は「いろんな装置を付加した車両が増えつつある」として、値上げの負担を被る利用者に理解を求める。

 一方、人手の確保は道半ばだ。事業者12社を対象にした調査では、保有車両の実働率が4~6月で前月に比べて4ポイント前後低下し、各月とも8割を下回った。運転手不足が主な要因だ。京都市以南の府南部地域のタクシー運転手は減少傾向が続いており、6月で8538人と5年前に比べて16・9%減った。同協会も「ドライバーの増員による実働率向上が今後の課題だ」と認める。

 国土交通省の調査によると、タクシー従業員の年間所得額は2016年で332万円と全産業平均の490万円を大きく下回る。今後は、収入増に加え、長時間労働の解消や女性が働きやすい環境の整備を進め、魅力ある職業として求職者にアピールする努力が各社に求められる。

【 2018年08月27日 11時40分 】

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