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和装業界にもIT導入 手描き工程管理や織り方AI活用

図案のアーカイブを開発したヴォヴィ・ピエールさん。デザインや色を画面に表示できる(京都市伏見区・岡山工芸)
図案のアーカイブを開発したヴォヴィ・ピエールさん。デザインや色を画面に表示できる(京都市伏見区・岡山工芸)

 手作業や分業制のイメージが強かった和装業界で、ITを積極的に導入する企業が現れている。手描き友禅の工程をリアルタイムに把握できるシステムや図案のデジタルアーカイブ化、人工知能(AI)を活用した織り方のデザインといった取り組みが進行。生産効率化や新技術開発で業界の可能性を広げようとしている。

 手描き京友禅の岡山工芸(京都市伏見区)は5年前から、ソフトウエア会社の勤務経験を持つ岡山摩紀社長(50)の発案で、義弟ヴォヴィ・ピエールさん(33)が工程とデザインの「見える化」に取り組んでいる。反物にIDをつけ、どの工場でどんな作業を行っているかをパソコンやモニターで確認できる独自システムを考案。約1万8千点に上る図案のアーカイブ化にも着手し、携帯端末でデザインや色を顧客に見せながら、打ち合わせができるようにする。

 これまでは反物を手書きの札で管理し、図案も顧客の要望を聞いてから下絵を描いて見せていたが、IT活用で大幅な時間短縮につながった。岡山社長は「手描き友禅を後世に残すためにITの力を借りたい」と話す。

 呉服製造卸の細尾(上京区)は、織物と最先端テクノロジーの融合を試みている。山口情報芸術センター(山口市)と共同研究に取り組み、AIの考案による織り方の構造や、一定の温度で発色する糸を使った織物などの成果を生み出した。

 西陣織の図案約2万点のアーカイブ化も京都造形芸術大(左京区)と共同で進めている。昨年は同大学の学生が図案を応用し、コーヒーチェーン・スターバックス京都三条烏丸ビル店(中京区)の番号札を製作した。

 今後も、生体センサーを組み込んだ織物を自動車やインテリア、医療などの分野で展開したり、人工筋肉や仮想現実(VR)を職人技術の継承に役立てたりといった構想を描いている。細尾真孝常務(40)は「伝統技術を未来につなぐ解決策の一つがテクノロジーにある」と期待している。

【 2018年09月30日 13時33分 】

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