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ノーベル賞、バイオ・創薬に追い風 がん治療の新分野確立

iPS細胞を用いたがん治療薬の開発に取り組むサイアスの等社長(左)ら=京都市左京区
iPS細胞を用いたがん治療薬の開発に取り組むサイアスの等社長(左)ら=京都市左京区

 新たながん治療法の道を切り開いた京都大特別教授の本庶佑氏によるノーベル医学生理学賞の受賞決定から一夜明けた2日、京都と滋賀の企業や経済界からも喜びの声が上がった。本庶氏の成果を基に開発された日本発のがん治療薬「オプジーボ」は世界中に広がった。本庶氏の受賞決定が追い風となり、京滋でもバイオ企業や創薬ベンチャーがオプジーボに続く革新的ながん治療薬の開発に、より一層力を入れる。

本庶氏が開拓したがん免疫療法分野の研究開発に注力するのが、タカラバイオだ。研究試薬の販売で手にした資金をがん治療薬開発に投資。皮膚がんの一種、悪性黒色腫(メラノーマ)を溶かす性質の遺伝子治療薬は臨床試験(治験)をほぼ終え、2018年度中にがん治療薬としての承認申請を目指す。

 同時に、免疫細胞にがん細胞を攻撃する遺伝子を組み入れた遺伝子治療薬の治験も進めており、仲尾功一社長は「本庶氏によってがん治療の新たな分野が確立された。オプジーボをはじめ、さまざまな治療法を組み合わせることでがん療法は飛躍的に発展するはずだ」と先を見据える。

 iPS細胞(人工多能性幹細胞)を用い、がん治療の創薬を目指す企業もある。京大発ベンチャー、サイアス(京都市左京区)は、患者の免疫細胞をiPS細胞で再生し、がんを退治する治療薬の研究を進める。21年春までに治験を始めるのが目標だ。等(ひとし)泰道社長は「本庶氏の研究成果により、一部のがんは治るとはっきり言えるようになった。免疫の重要性を巡る研究が進む中、受賞は象徴的な出来事だ」と喜ぶ。

 オプジーボのように巨額の収益をもたらす医薬品は「ブロックバスター」と呼ばれ、最新の免疫機能の知見を基にした創薬にも参入が相次ぐ。米国で長年、創薬ベンチャーに関わった等社長は「免疫療法を開発する企業には追い風。この分野への支援が国内でもさらに広がってほしい」と話す。

 本庶氏の快挙に対する経済界の期待も大きい。京都商工会議所の立石義雄会頭は「京大をはじめ、多くの大学や研究機関が集積する京都から世界をけん引する研究成果が生まれ、高く評価されたことを誇らしく感じる」とコメント。今回の受賞について「健康長寿社会の実現に向けてライフサイエンス産業の振興を進める京都・関西経済にとって意義深い」とした上で、産学連携による創薬の取り組みに弾みが付くことに期待を寄せた。

【 2018年10月03日 11時32分 】

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  • iPS細胞を用いたがん治療薬の開発に取り組むサイアスの等社長(左)ら=京都市左京区
岸田繁 交響曲第一番・第二番 連続演奏会 2019.10.5

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