出版案内
福祉事業団
京都新聞AR

バスの運転手が足りない! ダイヤ縮小で住民の足に影響

3月のダイヤ見直しで運行本数が大幅に減った京都バスの29系統(京都市左京区岩倉長谷町)
3月のダイヤ見直しで運行本数が大幅に減った京都バスの29系統(京都市左京区岩倉長谷町)

 京都府内を運行する路線バスの運転手が不足し、ダイヤ縮小など市民生活に影響が出ている。府内で事業展開するバス会社7社の運転者数は、過去5年間のピーク時から4~85人減少。大型2種免許を取得する人が少なくなり、厳しい労働環境が敬遠されているのが大きな要因で、関係者からは「企業任せの対策だけでは、改善につながらない」との声が上がる。

 京都市左京区岩倉村松町と国際会館駅間の約5キロを行き来する京都バス(右京区)29系統。この路線は3月のダイヤ改正で、運行本数が従来の1日往復22本から片道(駅行き)4本に変更された。買い物や通院時に利用していた村上昭子さん(89)=左京区=は「出掛けるのがおっくうになった」と戸惑いを隠せない。

 京都バスの運転者数(今年4月時点)は222人で、過去5年で最多の2016年から6人減った。従来のダイヤを維持できなくなり、山間部を除くほぼ全路線で減便に踏み切った。児玉健営業課長は「過労運転など法令違反につながりかねない。需要があるのは分かっているが、やむを得なかった」と話す。運転手不足は他社も同様で、京都市伏見区などで路線バスを運行する近鉄バス(東大阪市)は14年以降、毎年約20人減っているという。

 運転手不足の背景には、厳しい労働環境がある。厚生労働省が昨年実施した調査によると、バス運転手の年間労働時間は全職業平均より384時間長く、年収は約34万円安い。また、大型2種免許を取得するには高額な教習費用が必要で、3年以上の運転経験も求められる。取得要件が足かせとなり、1987年に約109万人いた免許保有者が昨年末には約91万9千人まで落ち込んだ。

 こうした状況下、バス会社側は会社説明会や採用試験の回数を増やすなど対応に追われる。京阪京都交通(亀岡市)は約10年前、免許取得費用を自社で負担する養成制度をいち早く導入した。ただ、ここ数年、他社や京都市交通局も同様の仕組みを取り入れ、人材の獲得競争が激化。明星観光バス(山科区)の谷口守弘社長は「民間ではできることに限界がある。国の支援が必要」と訴える。

 警察庁は今年4月から、有識者会議で大型2種免許の取得要件緩和を検討。運転経験を現行の3年から1、2年に引き下げる案が提示されている。公共交通問題に詳しい京都大大学院の大庭哲治助教(都市社会工学)は「運転手不足を解消するには、賃金など待遇を改善し、職業としての魅力を高めるのが第一。ただ、将来的には自動運転も視野に入れた対応策を考えるべきだ」としている。

【 2018年10月10日 11時30分 】

ニュース写真

  • 3月のダイヤ見直しで運行本数が大幅に減った京都バスの29系統(京都市左京区岩倉長谷町)
京都新聞デジタル版のご案内

    地域の経済ニュース

    全国の経済ニュース