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社説:消費増税対策 本来の目的を忘れるな

 大盤振る舞いで大丈夫なのか。

 来秋の消費税増税に向けて政府が検討を進める景気対策である。

 クレジットカードなど現金を使わないキャッシュレスの買い物に増税分をポイント還元する案と、政府が一定額を上乗せするプレミアム付き商品券を発行する案を実施するという。

 住宅ローン減税の拡充や自動車関連税の一部減税といった対策も検討されている。

 安倍晋三首相はきのうの経済財政諮問会議で増税も見据えて内需拡大に取り組むよう指示した。

 過去の増税時には景気悪化が長期化しており、十分な対応策と経済への目配りは不可欠だ。とはいえ、ばらまきは許されない。

 今回の増税は本来、社会保障制度を維持させるための財源確保が目的だった。経済対策の規模が膨らみすぎれば一体、何のための増税なのか分からなくなる。本末転倒にならないよう慎重に施策を詰めなければならない。

 制度設計で課題が山積しているのが、初めて実施されるポイント還元だ。

 買い物時にクレジットカードや電子マネー、QRコードなどで支払えば次回以降に使えるポイントを公費で付与するものだ。キャッシュレス化を促す狙いもある。

 増税分に相当する2%還元が検討されている。ただ、店側が導入するには端末を置いてカード会社に手数料を払う必要がある。中小事業者に限る方針だが、対象業者の線引きは難しく、カード会社側もシステム改修を迫られる。

 低所得者は比較的キャッシュレスでの買い物が少ないとされ、カードでの購入機会が多い高所得者ほど優遇される制度になりかねない。不公平感が生じないような綿密な仕組みを作れるのだろうか。

 プレミアム付き商品券は2万5千円分を2万円で売る案が検討されている。住民税非課税や子育て世帯が対象となる見込みだ。

 低所得者への配慮は必要だが、消費税の原則「負担は広く薄く」からは遠のく。同商品券は前回増税時にも実施されたが、消費喚起効果は限定的だったとの見方もある。

 増税に反対する国民は今なお多い。だからこそ政府は、その必要性を丁寧に説明し、歳出の絞り込みにも全力を挙げてほしい。負担の公平に向け、累進課税の見直しといった議論も進めるべきだ。

 国民に対して税負担を強いるならば、不要な政府資産の売却や国会議員の定数削減、歳費の見直しなど国の「身を切る改革」も併せて検討しないといけない。

【 2018年11月13日 11時11分 】

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